- 2024/08/26 掲載
FRBのMBS保有、金融政策の経済への波及で中心的役割=論文
[24日 ロイター] - 米カンザスシティー連邦準備銀行がワイオミング州ジャクソンホールで24日開いた経済シンポジウムでエコノミストグループが説明した論文によると、米連邦準備理事会(FRB)の住宅ローン担保証券(MBS)の保有は、金融政策の効果が経済情勢に波及する過程で「中心的な役割」を担っている。
論文は、FRBが経済情勢に影響を及ぼすことを目指した行動や政策金利の変更の効果を強化するため、米国債とMBSの保有高の増減をどのように活用しているかを調査した。
2020年に始まった量的金融緩和(米国債とMBSの買い入れ)によりFRBの資産保有高は22年夏には2倍超の約9兆ドルに増えてピークに達した。FRBのMBS保有高は当初の約1兆4000億ドルから22年3月には2兆7000ドルに増えて天井を打った。
米国経済における住宅金融の重要性を踏まえると、MBSの買い入れは特に注目度が高い。だがエコノミストや中央銀行当局者はこれまで長い間、資産買い入れの効果を数量化するのに苦労してきた上、資産買い入れの価値を疑問視する声も聞かれた。
論文はFRBのMBS買い入れの効果を数量化した上、そのプロセスがどのように機能するかについて説明。民間銀行も一定の役割を担っているとした。
論文は「2020年から21年にかけてのMBSスプレッドの低下で、銀行とFRBはそれぞれ約40ベーシスポイント(bp)相当の効果をもたらした」と推計。「これが、約3兆ドル相当の住宅ローン組成の累積的な増加と、正味で約1兆ドル相当の(MBSの)発行につながった。銀行の影響は増加分の約半分を占めた」と説明した。
その上で「こうした効果は消費支出と住宅投資に大きな影響を及ぼした」と付け加えた。
FRBが量的金融引き締めを追求する局面でも、FRBのMBS保有が金融政策運営に及ぼす強い効果は、やはり発揮されている。量的金融引き締めによりFRBの資産保有高は7兆3000億ドル、MBS保有高は2兆3000億ドルに減少した。FRBは保有しているMBSが償還されても再投資していない。
FRBの量的金融引き締めのプロセスは、当初の想定よりもゆっくりとしたペースで進んでいることが分かった。高金利局面で住宅市場の低迷により住宅ローンの組成が減速し、MBSを保有資産から切り離すFRBの能力が鈍ったためだ。FRBは米国債を中心に保有するという方針を達成するため、ある時点でMBSを(償還まで待つのではなく)積極的に売却しなければならなくなるかもしれないとの見方もある。
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