- 2024/08/26 掲載
米国債、コロナ禍中に「安全資産」の地位揺らぐ=論文
[ジャクソンホール(米ワイオミング州) 23日 ロイター] - 新型コロナウイルスのパンデミック中、米国債は従来と異なる値動きを示し、「安全資産」としての地位に疑問符が付いた――。ニューヨーク大学などの学者らは、22日から開かれた米年次経済シンポジウム(ジャクソンホール会議)でこうした論文を発表した。
米国債はドイツ、英国、フランスの国債、ひいては大企業の社債と比べても、やや不安定だったと示唆している。
論文は、米ニューヨーク大学のロベルト・ゴメスクラム氏、英ロンドン・ビジネス・スクールのハワード・カング氏、米スタンフォード大学のハンノ・ラスティグ氏の3人による共著。「新型コロナウイルスに反応し、米国債投資家は価格設定においてリスクの高い債務のモデルへとシフトしたようだ」とし、中央銀行などの政策担当者は、このシフトを踏まえて市場が適切に機能しているかどうかを判断すべきだとした。
投資家はパンデミック中に過去の世界的金融危機の時とは異なり、米国債買いに走らず、米国債を売ったと指摘。これは他の国々の国債に対する姿勢と大きく似ているとした。
米連邦準備理事会(FRB)は当時、市場が機能不全になったと想定して巨額の国債買い入れを実施した。しかし論文は、米国債はリスクの高い国の国債と同様、政府支出の「ショック」に反応して売られたと示唆。「そうした環境で、多額の政府支出に対応して中銀が多額の資産購入を行うことは、財政に好ましくない影響を及ぼす」とした。
この論文に対し、米財務省高官その他の会議参加者からは、パンデミックを取り巻く不透明性が反映されていないとの反論が出た。
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