- 2024/07/22 掲載
対ロ制裁すり抜け5分1減少、中国本土や香港経由の先端技術品
[香港/ワシントン 21日 ロイター] - 米商務省は、対ロシア制裁の一環である半導体やドローン部品など先端技術製品の輸出規制を巡り、中国や香港を経由した制裁すり抜け輸出が約5分の1減少したことをロイターに明らかにした。米国は中国と香港がロシアの主要調達経路とみて警戒を強めている。
米国と欧州連合(EU)はロシアがマイクロエレクトロニクスなど先端品目を兵器に使う可能性があると判断しており、米商務省産業安全保障局(BIS)が「共通の高度優先品目リスト(CHPL)」を導入して輸出を規制している。
匿名を条件に同省高官が明らかにしたところでは、今年1―5月の間に香港経由でロシアに輸出されたCHPL対象品は28%減少した。同時期に中国本土(香港を除く)を経由した輸出は19%減少した。こうしたデータが明らかになるのは初めて。
減少の背景には、米当局が積極的に取り締まっていることがある。また、CHPL対象製品を製造した企業のうち、製品の一部が中国や香港の港で最終的にロシアに至る船便に積み替えられてしまうという企業については、米当局が交渉に取り組んでおり、こうした積み重ねで対ロ制裁のすり抜けを減らしてきたという。
ただ、香港経由が依然、制裁すり抜けの国際的な「ハブ」となっている状況に変わりはない。
ワシントンに拠点を置く国際的な安全保障に関する非営利団体、米先端国防研究センター(C4ADS)によると、別の税関データでは、昨年8―12月に香港で法人登記した200社以上がロシアのバイヤーに約20億ドル相当の物品を出荷したことが明らかになっている。
香港自由委員会基金会(CFHK)が近く発表予定の報告書では、その時期に米エヌビディアやフランスのベクトラウェーブが手がけた高性能の先端半導体から、米テキサス・インスツルメンツ(TI)やインテルによる低性能の成熟品半導体まで計7億5000万ドル相当のCHPL対象品目が香港経由で出荷され、一部は制裁対象となっているロシア企業に出荷されたという。
同報告書を執筆したサミュエル・ビケット弁護士は「香港拠点の企業が機微に関わる技術や商品の移転を助長し、国際的な安全と安定を損なう事例が数多く明らかになった」と話している。
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