- 2024/07/11 掲載
英、30年ぶり上場規制改革 国際金融センター底上げ
[ロンドン 11日 ロイター] - 英金融行動監視機構(FCA)は11日、ロンドン証券取引所の株式上場区分のうち、「プレミアム」と「スタンダード」の2市場を29日に統合することを柱とした上場規制改革を発表した。幅広く企業の上場を誘致することを目指し、30年ぶりとなる大がかりなロンドン市場の底上げに乗り出した。
英国は2021年1月31日に欧州連合(EU)から法的にも完全離脱し、その後ロンドン証取はオランダのアムステルダムや、フランスのパリなど上場規制を緩和したEUの取引所との間で激しい市場競争に直面。ソフトバンクグループ(SBG)傘下の英半導体設計大手アームの新規株式公開(IPO)ではロンドン証取を選択してもらえず、米ナスダック市場に奪われていた。
こうした状況を背景に英財務省は、国際金融センターとしてのロンドン市場の競争力を高めるため上場規制の変更を求めていた。
FCAは昨年12月に改革案を提示した。その後に意見を公募したが、今回の発表は最終決定された内容で、大半は改革案から変わっていないという。
「プレミアム」と「スタンダード」の2市場統合は通常であれば、上場企業に何カ月もの準備期間があるが、発表から導入まで極めて短い異例の措置となる。
また、新規則では、上場までの官僚主義的な手続きを減らすことに加え、企業が投資家になりそうな層に向けてどのような情報を開示するべきか自ら決める責任を持つ。また、非公開企業による上場企業の「逆買収(リバーステークオーバー、RTO)」や上場廃止を除き、企業が重要な取引案件について株主に投票を求める要件も削除する。
さらに、創業者や取締役は株主総会で複数投票権を持つなど強力な議決権を無期限で保有できる。この措置は創業者が上場後も経営権を確保したがる成長企業をより多くロンドン市場に引きつけるのが狙いだ。
企業がIPOを実施する前から株主だった機関投資家に関しても、IPO後も最大10年間は通常よりも強力な投票権を持つことが今回の規制改革で認められた。
ロンドン証取は既に今回の改革実行を見越して上場予定の企業が増加していると明らかにした。
5日に始動した労働党スターマー内閣のリーブス財務相は新規制について「英国の資本市場を再び活性化して世界の主要市場と肩を並べ、技術革新が最も進んだ企業(の株式)を確実に英国に上場させる重要な第一歩だ」と述べた。
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