- 2023/12/26 掲載
米洋上風力発電業界、来年は明るさ増す見込み 複数州が勧誘活動加速
[ニューヨーク 22日 ロイター] - 米国の洋上風力発電業界にとって2024年はより明るい展望が開けそうだ。
複数の州での発電に大きな役割を果たすほか、バイデン大統領が推進する送電網の脱炭素化や気候変動対応に関する目標達成に貢献するとみられている。
今年は事業の進展が鈍く、事業者らはマサチューセッツ、コネティカット、ニュージャージーの各州で電力販売契約を打ち切り、他の州でもプロジェクトの中止を示唆。背景には物価高騰や金利上昇、供給制約などによる事業コストの増加があった。
こうした中でデンマーク・オーステッドやエクイノール、BPといった欧州系のエネルギー企業は、米国で進めていた洋上風力発電プロジェクトについて、既存の電力売却契約では施設建設費用や借入金のコストをカバーできず、合計で50億ドルの減損償却を行った。
ただ来年は、ニューヨークやニュージャージーなどでの新たな募集計画への入札を通じて、これまでに打ち切ったり、打ち切りをほのめかしていたプロジェクトの再生が期待できる。
ニューヨークやニュージャージーなどの州は、足元でプロジェクトの勧誘活動を加速させている。
エネルギー関連のコンサルティングを手掛けるEBWアナリティクス・グループのシニア・エネルギーアナリスト、イーライ・ルービン氏は「各州は依然としてクリーンエネルギー整備の目標にコミットし続けているように見える」と語った。
今年初め時点は、米国内で稼働中の洋上風力発電プロジェクトはロードアイランドとバージニアの2カ所にとどまり、発電量は合わせて41メガワット(MW)のみだった。しかし来年は、ニューヨークとマサチューセッツのプロジェクトが動き始めるため、発電量は1000MW前後に拡大する見通しだ。
洋上風力発電の場合、1000MWの電力で米国の約50万世帯の需要を賄うことができる。
オーステッドの広報担当者は、米国においては各州の政策や調達活動が引き続き洋上風力エネルギー需要をけん引し、連邦政府の支援が雇用増やサプライチェーン(供給網)拡充、国内エネルギーの増産をもたらす力になると指摘した。
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