- 2023/12/25 掲載
アングル:主要国中銀の利上げ、12月わずか1カ国、新興国は利下げに勢い
[ロンドン 22日 ロイター] - 12月は世界の主要国の中央銀行で利上げを行ったのはわずか1カ国にとどまり、新興国では利下げの動きがさらに加速した。特に米連邦準備理事会(FRB)がハト派に転じたことは市場に衝撃を与え、来年は主要国中銀が相次いで利下げに踏み切るとの見方が一段と広がっている。
最も取引量の多い10通貨を管轄する中央銀行のうち8行が金利決定会合を開催したが、ノルウェーだけが25ベーシスポイント(bp)の利上げを実施した。
FRBのほか、欧州中央銀行(ECB)、英国、日本、オーストラリア、カナダ、スイスの中銀は政策金利を据え置いた。しかし、FRBがハト派的な姿勢を打ち出したことは市場を驚かせ、金利が従来の予想よりも急ピッチかつ早期に引き下げられるとの見方が強まった。
USBグローバル・ウェルス・マネジメントのユーロ圏・英国担当チーフエコノミスト、ディーン・ターナー氏は「世界経済の減速、インフレ圧力の緩和、労働市場の冷え込みは、来年の主要国中央銀行による利下げへの扉を開く」と指摘。現行水準で金利を据え置くことは実質的には引き締めになるとし「これが必要と考える中銀はほとんどない。そのため、2024年に金利が引き下げられる可能性が高い」と語った。
ロイターの計算によると、G10(主要10カ国)の中央銀行の今年現時点までの利上げ回数は38回、幅は1200bp。22年は54回・2700bpだった。
一方、引き締めと緩和の両方のサイクルを先導してきた新興国では、利下げが勢いを増した。
ロイターがサンプルとする新興国の中央銀行18行のうち、12月は13行が金利決定会合を開催。利下げを行ったのは5行で、少なくとも過去3年間で最多となった。チェコは緩和サイクルをスタートさせ、ブラジル、ハンガリー、コロンビア、チリは緩和を一段と進めた。
年間の利下げは18回・945bpとなり(22年は11回・1765bp)、アナリストは利下げはまだ続くとみている。
バークレイズの経済調査責任者、クリスチャン・ケラー氏は「FRBのハト派方向への転換は新興市場のリスクセンチメントを押し上げ、新興国中銀に緩和の余地を与える」と話す。
年初からの合計で、新興市場の中央銀行は5075bpの引き締めを実施した。22年通年の引き締め幅は7425bpだった。
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