- 2023/12/25 掲載
ヘッジファンド、相対的にリターン低く今年も資金流出
[ニューヨーク/ロンドン/香港 22日 ロイター] - 今年は株価と債券利回りが急上昇したため、世界のヘッジファンドは市場平均を上回るリターンの確保が難しく、昨年に続いて資金流出に見舞われた。
ナスダック・eベストメントのデータによると、ヘッジファンドからの資金流出は年初からこれまでで差し引き750億ドルに達している。昨年は約1120億ドルが流出していた。
世界のヘッジファンド業界は3兆4000億ドル規模。
調査会社ピボタルパスによると、ヘッジファンドの1─11月の平均リターンは5.7%。株とクレジットに特化したファンドが最も堅調で、マクロおよびマネージドフューチャーズは出遅れた。
対照的に、S&P500種総合株価指数は12月20日までに約24%も上昇している。債券も年末にかけて急上昇し、ブルームバーグの米総合債券指数は年初から12月20日までの上昇率が4.88%となった。
幅広い資産クラスで利回りが上昇したため、短期金利関連の商品が人気を集めた。投資家は、比較的低いリスクでヘッジファンドより5%以上高い利回りを得ることができた。
UBPのシニア投資スペシャリスト、フレドリック・ランゲンスキオルド氏は「利回り5─6%と、伝統的に非常に保守的な投資戦略の一部は、投資家が現金で同等のリターンを得られるようになったため、魅力があせた」と指摘した。
幅広い資産クラスが大幅上昇しているため、ヘッジファンドは来年も、高い利回りを達成するようプレッシャーを受けそうだ。ソシエテ・ジェネラルの幹部レベッカ・アデル氏は、機関投資家は来年、ヘッジファンドに2桁台のリターンを要求するだろうと指摘。投資家はクレジット、グローバルマクロ、コモディティ、株式ロングショート戦略などに関心を寄せていると述べた。
高金利環境により、社債に投資するヘッジファンドは恩恵を受けるかもしれない。
S&P米高利回り社債指数は今年初めからこれまでに10.74%上昇している。
ピボタルパスのデータによると、マクロ経済動向に基づいて取引するグローバルマクロ戦略のヘッジファンドは今年、市場の乱高下や3月の銀行危機によって打撃を被り、年初から1.7%の上昇にとどまっている。昨年の上昇率は11.5%だった。
しかしグローバルマクロ戦略は、世界経済がばらばらの動きを示す時に好成績を上げる傾向があるため、世界の中央銀行が異なるスピードで金融緩和に動くと予想される来年は、好調が期待できると言う投資家もいる。
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