- 2023/12/25 掲載
企業に広がる「アルムナイ」採用=中途退職者を再雇用
企業の間で、中途退職した元社員を「アルムナイ(卒業生、同窓生)」と呼んで復職を積極的に受け入れようという動きが広がっている。人手不足が深刻化する中、即戦力として期待できるためだ。退職者にとっても古巣で再チャレンジする好機。「退職=絶縁」という風潮は薄れつつある。
キリンビール(東京)の木戸幸子さん(40)は昨年1月、3年前に辞めた同社に再就職した。広報の仕事を究めようと転職したが、コロナ禍を機に幅広い事業に関わりたいと考えが変化。「やるなら土地勘のあるキリン」と、古巣の門をたたいた。
キリンホールディングスの復職制度は、従来は出産や配偶者の転勤など、対象となる退職理由を限定していたが、2020年に原則不問となった。これまでに木戸さんを含め、5人が制度を利用して復職した。
良品計画は16年から「カムバック採用」と銘打ち、退職者の再雇用を進めている。23年度にはアルバイトなどを含め計211人が復職した。
退職者とのネットワーク構築を支援するサービスもある。リクルート(東京)の「アルミー」は、登録を希望した退職者の名簿管理や、退職者との定期連絡を代行するサービスで、導入企業は開始2年で100社を超えた。
20万人以上の正社員を抱える日本郵政グループは22年にアルミーを導入。復職だけでなく、副業としての受け入れや、退職者との協業なども期待しているという。「アルムナイと良好な関係を継続することで、企業価値向上につなげる」(同グループ)狙いだ。
人材マネジメントに詳しい学習院大の守島基博教授は、「転職や中途採用が増える中、人柄や実力がある程度分かっているアルムナイ採用はリスクが少なく増えるのは当然」と指摘。その上で、「在職時に多様な経験を積ませたり、辞める際に気持ちよく送り出したりできるかが重要」と話している。
【時事通信社】 〔写真説明〕日本郵政グループの中途退職者専用サイト
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