• 2023/12/22 掲載

日鉄のUSスチール買収、同盟国でも米国の反応は当然=自民党・甘利氏

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Kentaro Sugiyama Maki Shiraki

[東京 22日 ロイター] - 自民党の甘利明・経済安全保障推進本部長は22日、日本製鉄のUSスチール買収計画に米国内から安全保障面や雇用面の懸念が出ていることについて、同盟国の企業であっても当然の反応とした上で、まずは日本政府ではなく日鉄が不安解消へ対応すべきとの考えを示した。

甘利氏はロイターとのインタビューで、「経営や雇用の安定という点では、不安というよりむしろプラスになると思う」と指摘。「合併したほうが生き残れる、雇用も守れるという点は、日本製鉄が説明するだろう。その上で、米国が国産の製鉄メーカーを残すことと安全保障上の関わりをどう捉えるか、これは米国の問題だ」と語った。

甘利氏は米国の反応を「当たり前」とし、「大企業が一緒になるということは、そこのスクリーニングを通ってからの話だ」と述べた。

日本政府の対応については、「正確に日本製鉄の思いが伝わるような手伝いはするだろうが、合併について政府が前に出てどうこうするということはないと思う」と述べた。

日鉄が18日に発表したUSスチール買収計画を巡っては、共和・民主両党とも米議員の間から安全保障への影響を懸念する声が出ており、全米鉄鋼労働組合(USW)は雇用面の不安から反対している。ホワイトハウスのブレイナード国家経済会議(NEC)委員長は21日、「真剣な精査」に値するとの声明を発表した。

日本政府は個別企業の経営の話だとし、明確な反応を控えている。斎藤健経産相は22日午前の閣議後会見で、日鉄が「手続きにしっかりと対応することが必要」と述べた。

日本製鉄は同日、「買収は全てのステークホルダーにとって有益なものと考えている」と表明した。その上で「政府当局を含む関係するステークホルダーと対話を進め、理解を求めていく」とした。

<日銀の出口戦略、「功を焦らない方がいい」>

第2次安倍晋三内閣で経済再生担当相として「アベノミクス」に携わった甘利氏は、植田和男総裁率いる現在の日銀の金融政策にも言及。出口戦略は完全に経済の体力がついて足腰が強くなってから少しずつ始まるものだとし、「デフレに戻ったらもう手の打ちようはない。日銀は功を焦らない方がいい」と慎重な対応を求めた。一方で、「来年はデフレ脱却宣言ができるかもしれない」とも語った。

自身が策定に関わった政府・日銀の「共同声明」(アコード)の扱いについては、「中央銀行は独立性が大事。中銀としての判断は政府に強制されてするものではない」と述べる一方、「向かうべき目標は共有しようというのがアコードだ」とした。「その精神については日銀の植田総裁も理解している」と語った。

このほか、2024年度税制改正で決まった電気自動車(EV)や半導体などの減税措置に関し、「(日本)国内で生産して輸出しても勝てる競争力のための生産支援の仕組みであり、相手市場で戦えるコストにするため支援する」と語った。EVや半導体は各国が優遇措置を導入し、自国内生産を拡大しつつある。

半導体戦略推進議員連盟会長も務める甘利氏は、医療分野や教育分野など社会全体の性能をデジタル化によって高め、DX(デジタル・トランスフォーメーション)で「令和の列島改造」を成し遂げたいと述べた。

(杉山健太郎、白木真紀、木原麗花 編集:久保信博)

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