- 2023/12/22 掲載
次年度予算案を閣議決定、「平時移行」へ半歩 国債費は過去最大
[東京 22日 ロイター] - 政府は22日、歳出総額112兆0717億円とする2024年度一般会計予算案を閣議決定した。当初比では12年ぶりの減額予算で、コロナ禍から平時に移す財政理念を半歩進めた。過去最大となる国債利払いはさらに膨らむことも予想され、歳出構造の見直しを進められるかが今後焦点となる。
予算案は、同日夕の臨時閣議で正式に決めた。歳出全体の伸びは前年比マイナス2.0%に抑えた。閣議決定に先立つ政府与党政策懇談会で、岸田文雄首相は「歳出改革の取り組みを継続し、歳出構造のさらなる平時化を進める中で、メリハリの効いた予算とした」と述べた。
歳出のうち、社会保障費や公共事業費、防衛費などの一般歳出は、当初比7.5%減の67兆2764億円とした。予算の3分の1を占める社会保障費では、診療報酬をマイナス改定するなどして伸びを抑えた。
防衛関連では、新たな整備計画2年目となる24年度の対象経費として7兆7249億円を充てる。一方、23年度に防衛財源に計上した3兆3806億円の繰り入れがなくなることで、一般歳出の押し下げに働いた。
有事の備えと位置付ける「物価・賃上げ促進予備費」を前年当初の5兆円から1兆円に縮減したことも減額に寄与した。
もっとも、首相が旗振り役となった減税対応では課題を残した。24年度予算案では、6月の定額減税に伴う住民税減収分の補てん費用も計上。歳出の柱の一つとなる地方交付税交付金は17兆7863億円と、前年当初からは8.5%増えた。
「防衛力強化資金への繰り入れ分と予備費減額分で7兆円を超えるゲタをはいている割に、歳出の切り込みが甘かった」と、政府関係者の1人は語る。
国債費の増加も著しい。日銀による累次の政策修正を受けて利払い費の算出根拠としている積算金利を1.9%に見直し、当初比7.0%増の27兆0090億円を計上した。国債費としては過去最大となる。
日銀がマイナス金利解除など次の一手に踏み切れば、国債利回りが上昇し、政府の調達コストはさらに膨らみかねない。
歳入では、主財源となる税収を69兆6080億円と想定している。税外収入を加えてもなお足りない財源は、新規国債を34兆9490億円発行することで補う。
新規国債は3年連続の減額としたが、依然として歳出規模そのものは大きく、公債依存度は31.2%と前年から改善していない。
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