- 2023/12/22 掲載
20日の米株急落、0DTEオプション以外にも原因か=アナリスト
[ニューヨーク 21日 ロイター] - 米国株が20日に急落した原因として、当日に期限を迎えるオプション「0(ゼロ)DTE」の取引が指摘される一方、同オプションは一因に過ぎないとの見方も出ている。
20日の米国株市場では、午後の薄商いの中で突然相場が下がり始め、S&P500種総合指数は1.5%安で取引を終えた。特段の外部材料が見当たらなかったため、0DTEの大口取引が急落の原因になったとの見方が多い。
翌21日にはS&Pが1%反発したため、急落は市場心理の変化ではなくテクニカルな要因が引き金だったと一部アナリストは話している。
アナリストによると、年末特有の薄商いやポジションの偏りが短期オプション取引と相まって急落につながった。
複数の要因があったとは言え、20日の相場波乱は、今年0DTEオプション人気が個人・機関投資家の間で急上昇し、市場を動かす要因になった実態を浮き彫りにした。
8月のシカゴ・オプション取引所(CBOE)のデータによると、オプションの取引高は今年過去最高を記録したが、その中でも0DTEの取引は他の全ての期日をはるかにしのぐペースで増え、S&P500オプションの約半分を占めた。
20日のように投資家がS&P500のプットオプション(売る権利)を大量に買うと、売りに応じるマーケットメーカーは一日中、株式先物を売って自社のリスクを均衡させる必要が生じる。
相場が下落すると、マーケットメーカーは売りのペースを速め、下落に拍車を掛ける可能性がある。20日もそうした状況だったようだ。
ノムラのストラテジスト、チャーリー・マケリゴット氏は、相場の下落に賭ける0DTE取引が原因で、約30億ドルの株式先物が売られたとみている。同時に、大手機関投資家は株を売って債券を買うアセットアロケーション(資産配分)絡みの取引を行っている最中で、株価に一段と下落圧力がかかったようだという。
チャールズ・シュワブのディレクター、ジョー・マッツォーラ氏は「市場心理が限界(強気一辺倒)になるとともに、この日までに流動性が低下していた。そして全員が同方向の取引に偏っていることに人々がはたと気付いたところで、(0DTEオプション取引という)触媒が投入された。これがあの動き、あの乱気流の原因だ」と語った。
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