• 2023/12/19 掲載

賃金と物価の好循環、なお見極め必要=植田日銀総裁

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Kentaro Sugiyama Takahiko Wada

[東京 19日 ロイター] - 日銀の植田和男総裁は19日、金融政策決定会合後の記者会見で、賃金と物価の好循環が実現するか「なお見極めていく必要がある」と述べ、粘り強く金融緩和を継続していく考えを示した。「年末から来年にかけ一段とチャレンジングになる」という7日の総裁発言を受けて金融市場ではマイナス金利の早期解除観測が高まっていたが、「仕事の取り組み姿勢一般について問われ、答えた」と語った。

植田総裁は、基調的な物価上昇率が2025年度にかけて徐々に高まっていく見通しが実現する確度は「少しずつ高まってきている」と述べる一方、先行きの経済情勢の不確実性が高いこともあり、現時点で来年の賃上げについて方針を固めきれていない企業も多くなっていると指摘。中小企業から人件費や間接費の上昇の価格転嫁は容易でないとの声も聞かれていると説明した。

植田総裁は「先行き賃金と物価の好循環が強まっていくか、なお見極めていく必要がある」と語った。 データだけでなく、企業などへの聞き取り調査を丹念に点検していく考えを明らかにした。

日銀は今回の会合で、大規模な金融緩和政策の現状維持を決めた。植田総裁が7日の国会答弁で「年末から来年にかけ一段とチャレンジングになると思っている」と発言したことを受け、市場では早期のマイナス金利解除観測が浮上していたが、金融政策のフォワードガイダンス(先行き指針)も変更せず、先行きの政策修正は示唆されなかった。そのため、総裁会見の発言から政策修正までの距離を測ろうとする向きが多かった。

自身の「チャレンジング発言」については、今後一段と気を引き締めて取り組むというつもりで発言したと説明。その上で「金融政策については、同じやり取りの中で粘り強く金融緩和を継続すると述べた」と語った。

自民党派閥の政治資金パーティー問題が日本経済や金融政策運営に与える影響に関連しては「日銀総裁としての立場からコメントできることはない」としつつ、「これまで同様、政府と密接な連絡をとりつつ適切な金融政策を施行していきたい」と語った。

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