- 2023/12/19 掲載
日銀、金融緩和の現状維持決定 マイナス金利解除せず
Takahiko Wada Takaya Yamaguchi Kentaro Sugiyama
[東京 19日 ロイター] - 日銀は18―19日に開いた金融政策決定会合で、マイナス金利を含む大規模な金融緩和政策の現状維持を全員一致で決めた。市場では早期のマイナス金利解除観測が浮上していたが、金融政策のフォワードガイダンス(先行き指針)も変更せず、先行きの政策修正は示唆されなかった。
<マイナス金利維持>
長短金利の目標は、全員一致で据え置いた。短期金利は引き続き、日銀当座預金のうち政策金利残高にマイナス0.1%の金利を適用。長期金利は、10年物国債金利がゼロ%程度で推移するよう、上限を設けず必要な金額の長期国債の買い入れを行うとした。
長期金利の上限は引き続き1%をめどとする。日銀は金融市場調節方針と整合的なイールドカーブ形成を促すため、大規模な国債買い入れを続けるとともに、各年限で機動的に買い入れ額の増額や指し値オペ、共通担保オペを実施するとした。
<フォワードガイダンスも維持>
金融政策のフォワードガイダンスも、文言を変更しなかった。経済・物価・金融情勢に応じて機動的に対応しつつ、粘り強く金融緩和を継続していくことで、賃金上昇を伴う形で2%の「物価安定の目標」を持続的・安定的に実現することを目指すとした。
物価安定目標の実現を目指し、これを安定的に持続するために必要な時点まで、長短金利操作付き量的・質的金融緩和を継続する。マネタリーベースについては、消費者物価指数(除く生鮮食品、コアCPI)の前年比上昇率の実績値が安定的に2%を超えるまで拡大方針を続ける。引き続き企業などの資金繰り支援と金融市場の安定維持に努めるとともに「必要があれば、躊躇(ちゅうちょ)なく追加的な金融緩和措置を講じる」と改めて明記した。
<消費や設備投資、文言ほぼ変えず>
日銀は景気の現状について「緩やかに回復している」との見方を維持した。弱い指標が出ていた個人消費や設備投資についての文言もほぼ変えなかった。個人消費は「物価上昇の影響を受けつつも、緩やかな増加を続けている」としたほか、設備投資は「緩やかな増加傾向にある」と指摘した。
コアCPIの前年比は、来年度にかけてこれまでの輸入物価上昇による価格転嫁の影響が残ることなどから「2%を上回る水準で推移する」とする一方、その後はこれらの影響の剥落で前年比のプラス幅は縮小すると予想されるとした。消費者物価の基調的な上昇率はこの間、マクロ的な需給ギャップがプラスに転じ、中長期的な予想物価上昇率や賃金上昇率も高まるもとで物価目標に向けて徐々に高まっていくとした。
日銀はリスク要因として、引き続き海外の経済・物価動向や資源価格の動向、企業の賃金・価格設定行動などを挙げ、経済や物価を巡る不確実性は「きわめて高い」とした。金融・為替市場の動向やその日本経済・物価への影響を「十分注視する必要がある」と指摘した。
(和田崇彦、山口貴也、杉山健太郎)
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