- 2023/12/19 掲載
日鉄、脱炭素化へ巨額買収=電炉や原料権益強化へ
日本製鉄が、米鉄鋼大手USスチールを2兆円超で買収する。同社が持つ最先端の大型電炉や高品質な鉄鉱石鉱山の権益が手に入る。日鉄は脱炭素化推進のため、国内で大型電炉の導入検討を始めたほか、高品質な原料炭権益を持つカナダ資源大手への出資を決めたばかり。今回の買収で脱炭素化への取り組みを強化し、自動車用鋼板の需要が大きい北米市場に足場を確保する狙いだ。
日鉄は今年5月、九州製鉄所八幡地区(北九州市)と瀬戸内製鉄所広畑地区(兵庫県姫路市)で、大型電炉導入のための本格的な検討を開始した。素材産業で最も多くの二酸化炭素(CO2)を排出する日本の鉄鋼大手は、水素による還元製鉄などの技術開発を進めているが、最も現実的な選択肢は製造段階で高炉に比べCO2排出量の少ない大型電炉の導入だ。
USスチールは2021年に最先端の電炉会社ビッグリバースチールを完全子会社化した。高品質な電磁鋼板の製造を手掛けている。日鉄の橋本英二社長は18日、「製鉄業における脱炭素化を通じてより環境に配慮した社会の発展に貢献するというコミットメント(公約)を実現していく」とのコメントを公表した。
米国はトランプ前政権時代に鉄鋼とアルミニウムに輸入制限措置を課しており、米国に直接鉄鋼の生産拠点を持つことのメリットも大きい。こうした条件が合致し、日鉄は経営再建を進めていたUSスチールの買収を決断したとみられる。
【時事通信社】
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