- 2023/12/12 掲載
アングル:FOMC、利下げ時期後ずれ示唆か 債券投資家はポジション調整
[ニューヨーク 11日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)は今週、来年の早い時期に利下げが実施されるという市場の観測をけん制するとの見方が、投資家の間で広がっている。
ファンドマネジャーの多くは、とりあえず目先は債券のポジションを強気から中立に修正して12─13日の連邦公開市場委員会(FOMC)に備えている。
FOMCは金利を据え置くとの見方が大勢だが、引き締め姿勢からの転換を示唆するとは予想されていない。ロイターが実施したエコノミスト調査では、少なくとも来年7月までは金利据え置きが続く見通しとなっており、以前よりも予想される利下げ開始時期が後ずれした。
エコノミストの見方とは対照的に、フェデラルファンド(FF)金利先物は8日時点で、3月利下げの確率を約46%とみる水準で取引された。もっとも、強い米雇用統計を受けて1週間前の64%からは確率が下がっている。
CMEのフェドウォッチによると、FF金利先物市場が織り込む5月利下げの確率はなお79%と高いが、1週間前の90%からは低下した。
パウエルFRB議長は1日の講演で、FF金利の誘導目標は「十分に景気抑制的な領域にある」が、FOMCは、金融引き締めが適切と見なせば引き締める用意があると述べた。
BNYメロンの米マクロストラテジー責任者、ジョン・ベリス氏は「FRBのコメントおよびFRBが望む金融環境の引き締まり度合いと、市場の実勢の間に大きな隔たりがある」と言う。
同氏はこの結果、12─13日のFOMCが「タカ派色の濃い会議」になると予想。「FRBがピボット(利下げへの転換)を発表するとは思わない。市場が早期利下げを織り込んでいるのに反し、ドットは後ろにずれるかもしれない」と述べ、FOMCメンバーの政策金利見通し(ドットチャート)において利下げ予想時期が後ずれする可能性に触れた。
昨年3月以来の積極的な利上げにもかかわらず、最近の米経済指標は景気の底堅さを示している。
<米国債相場は大幅上昇>
投資家はこれまで利下げを想定して米国債を買い進め、10年物利回りは11月から78ベーシスポイント(bp)、2年物は約49bp、それぞれ低下した。
イーグル・アセット・マネジメントの債券・ストラテジックインカム担当マネジングディレクター、ジェームズ・キャンプ氏は、利回りの急低下によって金融環境が緩和したと指摘する。
これは、10年物利回りが5%を付けた10月末の状況の裏返しだ。当時、市場参加者の間では、債券利回りの上昇によって金融環境が引き締まったため、FRBはさほど積極的に利上げを行わないかもしれない、との見方が広がっていた。
キャンプ氏は「現在の状況は当時とは正反対の鏡映しだ。FRBからタカ派的なメッセージが発せられるとするなら興味深い。本当に景気を減速させ続けたいと望むなら、FRBはそうする必要があると私は思うからだ」と語った。
<デュレーションをとりあえず中立化>
ファンドマネジャーは「高金利の長期化」状態が少なくとも夏まで続くとみて、これまでベンチマークに対して「ロング」にしていたデュレーションを「中立」に近づけている。
デュレーションは、政策金利が変更された場合に債券価格がどの程度動くかを示すもので、単位は「年」だ。
モルガン・スタンレー・インベストメント・マネジメントのポートフォリオマネジャー、Andrew Szczurowski氏は「数週間前にはデュレーションを最長にしていた」が、利回りが80─90bp下がったのを受けて「中立に近づけている」と述べた。
ただ、FRBはいずれ利下げに転じる見通しなので、ファンドマネジャーらの最終的なゴールはデュレーションの長期化で変わっていない。デュレーションが長い債券は、利下げ開始時に価格が上昇する傾向がある。
イーグルのキャンプ氏は「当社は、来年第2・四半期に景気後退が始まり、FRBは年後半に利下げを実施すると予想している」と述べた。
PR
PR
PR