- 2023/12/05 掲載
米株、S&P年初来高値更新で強気相場突入が間近
[ニューヨーク 4日 ロイター] - 米国株が再び強気相場に突入する日が近い。S&P総合500種終値は1日に年初来高値を更新し、昨年1月に記録した過去最高値まであと4.2%の地点に達した。
よく用いられる尺度に照らすと、S&P総合500種が終値で4796.56を上回れば、昨年10月12日を底として強気相場となったことが確認できる。現在のS&P総合500種は年初来で19.7%、昨年10月の底値からは28.5%上がっている。
過去の強気相場を振り返れば、株価はさらに跳ね上がる前に一服する局面があることを、投資家は覚悟する必要がある。
同時に、米国株には上昇を阻みかねない要素も多く残っている。米連邦準備理事会(FRB)の利上げが経済を冷え込ませ、これまでの株高をもたらしてきたソフトランディングの期待が裏切られるというのもその一つだ。
◎比較的軽度の弱気相場
S&P総合500種が1日に年初来高値を更新したことで、昨年1月に始まった弱気相場の幕引きが正式に確認できるタイミングが迫ってきた。
一部の投資家は、特定の銘柄ないし指数が既往ピークから少なくとも20%下落すれば弱気相場だと定義する。それに従うと、今の弱気相場は特に痛みが大きかったわけではないようだ。
S&P総合500種の底値時点での既往ピークからの下落率は25.4%で、ヤルデニ・リサーチが1928年までさかのぼって集めた弱気相場局面のデータによると、過去4番目の小ささ。弱気相場の日数も282日と、過去平均の341日より少ない。
◎強気が強気呼ぶ
過去の例からは、強気相場は自己増殖的に勢いが増す傾向があることも読み取れる。堅調な値動きが様子見姿勢の投資家を呼び込み、リスク志向を高めるからだ。
過去50年間にあった6回の強気相場では、平均上昇率は260%近くに達している。
◎曲折は避けられず
当然ながら、株価が一本調子で上がるケースは滅多にない。過去50年で、強気相場に先立つ3カ月間のS&P総合500種の平均上昇率は16%だったが、強気相場入りが確認された後の1カ月と3カ月の平均上昇率はそれぞれ0.2%と2.0%にとどまる。
◎上昇へのハードル
株高のスピードを鈍らせるか、投資家心理を損なう可能性がある材料も十分そろっている。
多くの投資家が注目しているのは米経済で、FRBが成長に大きな打撃を与えずにインフレを落ち着かせるソフトランディングが実現するとの期待が、株高を支えてきた。
しかし合計525ベーシスポイント(bp)に上るFRBの利上げが想定以上に景気を減速させている兆しが見えれば、株式をはじめとするリスク資産に対する投資姿勢が今より慎重になってもおかしくない。
景気後退の前兆とされる逆イールド(長短利回り逆転)は引き続き投資家心理に影を落としている。2年国債利回りが10年国債より高い状態は昨年7月以降ずっと継続しているからだ。
サンフランシスコ地区連銀の調査部門が2018年にまとめたリポートによると、1955年以来の各景気後退では毎回、後退が始まる6カ月から24カ月前に、2─10国債が逆イールド化した。
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