- 2023/12/02 掲載
利上げ過不足リスクは「均衡」、軟着陸の大枠整う=FRB議長
パウエル議長は、10月までの6カ月間の主要インフレ指標が平均2.5%と、FRBが目標とする2%に近い水準であったことを指摘。金融政策が予想通り景気を減速させていることは明らかであり、政策金利は「かなり制約的な領域に入っている」と述べた。
スペルマン大学(ジョージア州アトランタ)での講演原稿で、パウエル議長は「われわれの引き締めの効果はまだ十分に現れていない。インフレに対するわれわれの強力な対応は、FRBの信頼性を維持し、将来のインフレ期待を安定的に保った。これほど早くここまで来たのだから、引き締めの過不足リスクが均衡している状況下で、(米連邦公開市場委員会(FOMC)は)慎重に前進する」とした。
ここ数週間の他のFRB幹部発言と同様、インフレとの戦いが終わったと宣言するのはまだ時期尚早とも繰り返した。また、「必要な場合はさらに政策を引き締める用意がある」とも述べた。
しかしパウエル議長の発言は、現在の政策金利5.25─5.50%が十分だという自信の高まりも反映している。12月12─13日のFOMCでは、3会合連続で金利を据え置くと予想されている。
<軟着陸>
パウエル議長によると、政策立案者らは依然として経済見通しの不確実性が「異常に高まっている」と見ており、それが利上げの必要性を主張する要因の一つになっている。
一方で、支出や生産高の伸びが鈍化し物価上昇圧力が和らぐ中でも、雇用市場は依然として力強い点を指摘し、期待される「ソフトランディング(軟着陸)」の大枠は整いつつあるようだとも述べた。
「われわれはパンデミック(世界的な大流行)と経済再開の影響が薄れ、制約的な金融政策が総需要を抑制するため、来年にかけ支出と生産の伸びは鈍化すると予想している」とした。
さらに、「経済が新規雇用を創出するペースは依然として力強いものの、より持続可能な水準に向かって減速している。賃金の伸びは依然として高いが、長期的には2%の物価上昇率に見合う水準に徐々に近づいており、インフレ率の低下とともに実質賃金は再び上昇している」と述べた。
パウエル議長は講演後、同大の学長と対談する。午後には、クックFRB理事も交えて地元企業関係者との懇談会が開催される。
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