- 2023/12/01 掲載
NY市場サマリー(30日)ドル上昇、10年債利回りが月間で大幅低下 ダウ520ドル高
ドル指数は0.5%上昇の103.38と、1カ月超ぶりの大幅な上昇となった。月間では3%安と、ここ1年で最悪の月次パフォーマンスとなる勢い。
一部のアナリストは、11月は来年の利下げを見越した急激なドル売りが観測されたため、投資家はポジションを整理しており、ドルは月末の需要から恩恵を受けた可能性があると指摘した。
一方、11月は株価が急伸したことから、月末のドル売りを予想する声もあった。アナリストによれば、一部の米銀大手ではドル売りシグナルが出ていたという。
UBSのFXストラテジスト、バシリ・セレブリアコフ氏は「米国株の急騰ぶりを見て、月末のドル売りを予想していた」と指摘。「ただ、月末より前に売りが出た可能性もある。そのため、月末のドル売りは弱まるかもしれない」とした。
30日に発表された個人消費支出(PCE)価格指数の伸び鈍化や新規失業保険申請件数の増加を受けてもドルは上昇を維持した。
他の通貨ではユーロが下落。欧州連合(EU)統計局が30日発表した11月のユーロ圏消費者物価指数(HICP)上昇率(速報値)は前年比2.4%と、10月の2.9%から低下した。
ユーロ/ドルは0.7%安の1.0897ドル。月間では3%高と2022年11月以降で最大の上昇率を記録する見通し。
ドル/円は0.6%高の148.12円。11月は2.4%安と昨年12月以来の月間下落幅を記録した。
NY外為市場:[USD/J]
<債券> 米10年債利回りが月間で52.2ベーシスポイント(bp)低下し、2011年8月以来の大幅な低下を記録した。ここ数週間で利回りは急速に低下した。
もっともこの日の利回りは上昇。個人消費支出(PCE)価格指数の前年同月比の伸びが2021年以降で最小となったほか、新規失業保険申請件数は前週から増加し、米連邦準備理事会(FRB)による利上げ終了の可能性を示唆したが、10年債利回りは7bp上昇の4.34%となった。
アクション・エコノミクス(サンフランシスコ)のグローバル債券担当マネジング・ディレクター、キム・ルパート氏は、来年5月の利下げが織り込まれている現状を見る限り、月間の大幅な低下は「行き過ぎ」と指摘。そのため、この日は利回りが上昇したが、利回りはなお低下傾向にあるため「小幅な戻りにすぎない」と述べた。
CMEのフェドウオッチによると、FRBが5月に少なくとも0.25%ポイントの利下げを実施する確率は75%超。1週間前は約55%だった。
30年債利回りは7bp上昇の4.522%。
米経済指標でインフレ鈍化が示される中、FRB当局者らは30日、FRBの利上げサイクルが終了した可能性があると示唆した。同時に、物価を巡る進展が停滞すれば追加利上げの可能性を否定せず、市場で出ている早期利下げ着手の観測を退けた。
2・10年債の利回り格差はマイナス37.1bp。一時マイナス35.5とマイナス幅が11月9日以降で最も小幅となった。
2年債利回りは7bp上昇の4.715%。月間では34.1bp低下し、3月以来の大幅な低下を記録する勢い。
物価連動国債(TIPS)と通常の国債の利回り差で期待インフレを示すブレーク・イーブン・インフレ率(BEI)は、5年物は2.181%、10年物は2.25%。
米金融・債券市場:[US/BJ]
<株式> ダウ工業株30種が今年の最高値を付け、好調となってきた11月を締めくくった。インフレ指標の鈍化を受け、米金融政策緩和の見通しが意識された。
ダウは決算が市場予想を上回った顧客管理ソフト大手のセールスフォースに支援され、主要指数をアウトパフォーム。昨年1月以来の高値で引けた。
S&P総合500種は小幅に上昇したが、ナスダック総合は、半導体大手エヌビディアなどハイテク関連分野のモメンタム銘柄の下げが重しとなりマイナス圏に沈んだ。
それでもS&Pとナスダックは月間で昨年7月以来最大の上昇率を記録。ダウの月間上昇率は昨年10月以来の大きさとなった。
30日に発表された10月の個人消費支出(PCE)は緩やかに増加したほか、PCE価格指数の前年同月比の伸びは2021年以降で最小となった。
S&P主要11セクターではヘルスケアがアウトパフォームする一方、通信サービスの下落率が最大だった。
経済の健全性を測る指標とされるダウ輸送株20種は1.4%上昇した。
セールスフォースは9.4%急伸。クラウドサービスに対する堅調な需要を背景に利益見通しが市場予想を上回った。
自動車大手フォード・モーターは3.1%安。全米自動車労働組合(UAW)によるストライキ後に結んだ新たな労働協約により、88億ドルの費用が発生するとの見通しを示し、通期業績予想を引き下げた。
画像共有サービスのピンタレストとスナップはそれぞれ2.4%高、6.5%高。ジェフリーズが両社の投資判断を「ホールド」から「バイ」に引き上げた。
米国株式市場:[.NJP]
<金先物> 前日に3年3カ月ぶりの高値を付けた後を受けて上げ一服状態となり、反落した。中心限月2月物の清算値(終値に相当)は前日比9.90ドル(0.48%)安の1オンス=2057.20ドルとなった。
NY貴金属:[GOL/XJ]
<米原油先物> 石油輸出国機構(OPEC)加盟国とロシアなど非加盟産油国で構成する「OPECプラス」による自主的減産合意の報に対し懐疑的な見方が広がり、3日ぶりに反落した。米国産標準油種WTIの中心限月1月物の清算値(終値に相当)は前日比1.90ドル (2.44%)安の1バレル=75.96ドルだった。2月物は1.94ドル安の76.05ドル。
OPECプラスは30日、オンラインで開いた閣僚級会合で、2024年第1・四半期に、OPECプラス参加各国が自主的に合計で日量約220万バレルの減産を実施することで合意した。主要産油国であるサウジアラビアが現行の日量100万バレルの自主減産を継続するほか、ロシアも石油製品も含め50万バレルを減産。またアルジェリア、オマーン、クウェートなどの国も自主的に生産を縮小することが明らかとなった。
声明発表前から減産の報が伝わり、需給逼迫(ひっぱく)懸念からいったん原油は買い進まれた。ただ、OPECプラスが当初発表した公式声明に追加減産に関する言及がなく、市場では自主減産の履行に懐疑的な見方が拡大。自主減産幅はその後に公表されたものの、ブルームバーグによると、アンゴラはOPECプラスから発表された生産目標を拒否し、目標を超過して生産する意向を示した。既に自主減産を実施しているサウジとロシアを除く合計の追加減産幅が市場の予想を下回ったこともあり、一転して売りが優勢となった。
NYMEXエネルギー:[CR/USJ]
ドル/円 NY終値 148.19/148.22
始値 147.70
高値 148.51
安値 147.24
ユーロ/ドル NY終値 1.0886/1.0888
始値 1.0914
高値 1.0948
安値 1.0880
米東部時間
30年債(指標銘柄) 17時05分 104*04.50 4.4969%
前営業日終値 104*29.50 4.4510%
10年債(指標銘柄) 17時05分 101*11.50 4.3302%
前営業日終値 101*27.00 4.2710%
5年債(指標銘柄) 17時05分 100*14.50 4.2733%
前営業日終値 100*22.25 4.2190%
2年債(指標銘柄) 17時05分 100*10.88 4.6947%
前営業日終値 100*13.75 4.6480%
終値 前日比 %
ダウ工業株30種 35950.89 +520.47 +1.47
前営業日終値 35430.42
ナスダック総合 14226.22 -32.27 -0.23
前営業日終値 14258.49
S&P総合500種 4567.80 +17.22 +0.38
前営業日終値 4550.58
COMEX金 2月限 2057.2 ‐9.9
前営業日終値 2067.1
COMEX銀 3月限 2566.0 +21.7
前営業日終値 2544.3
北海ブレント 1月限 82.83 ‐0.27
前営業日終値 83.10
米WTI先物 1月限 75.96 ‐1.90
前営業日終値 77.86
CRB商品指数 273.6412 ‐1.8020
前営業日終値 275.4432
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