• 2023/11/30 掲載

金融政策修正、もう少し時間かかる=中村日銀委員

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Yoshifumi Takemoto

[神戸市 30日 ロイター] - 日銀の中村豊明審議委員は30日午前、神戸市内で講演し、日本経済は「賃金と物価の好循環を実現させる千載一遇のチャンスが到来している」とし、金融政策の修正には「今は慎重な対応が必要であり、もう少し時間がかかる」と述べた。

<物価上昇コストプッシュ、2%確信持てない>

中村委員は「従業員や経営者の意識の変化とともに、物価上昇を上回る賃金上昇が実現する兆しが表れている」と指摘したものの、足元の物価上昇は「コストプッシュインフレの色彩が強く、賃金上昇を伴った持続的な2%目標の実現に確信を持てる状況ではない」と語った。

実質賃金も18カ月連続で前年比マイナスが続いており、欧米のようなユニット・レーバー・コストの大幅な拡大がみられていない点にも言及した。

金融政策運営は「2%目標のもと当面は現在の金融緩和を粘り強く続ける必要がある」とした。

<米国スタグフレーション可能性も>

世界経済に関し、「各国利上げの影響やウクライナ情勢に加え、中東問題の拡大懸念も台頭し、不確実性が高まっている」と述べた。米国経済は「ソフトランディング期待が高まっている」ものの「一部には経済減速懸念も聞かれ、スタグフレーションにつながる可能性もある」と指摘した。中国は「不動産投資や輸出に代わる成長ドライバーの育成が不十分で、潜在成長率の低下が続く」と分析した。

国内物価について「消費者物価指数(コアCPI、除く生鮮)は直近ピークの2023年1月の4.2%から10月は2.9%に低下したが、企業に残存するコスト未転嫁分の販売価格への転嫁に加え、食料・エネルギー価格が再上昇する可能性もあるので、今後の動向を注視している」と述べた。

講演の最後には「59年ぶりのプロ野球関西シリーズの盛り上がりも手伝って兵庫県の経済が持続的な成長を遂げられることを祈念する」と締めくくった。

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