• 2023/11/30 掲載

NY市場サマリー(29日)ドル上昇、利回り低下 株小動き

ロイター

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<為替> 米国の第3・四半期の経済成長率の改定値が速報値から上方改定されたことを受け、ドルが上昇した。

商務省発表の第3・四半期の実質国内総生産(GDP)改定値は年率換算で前期比5.2%増と、速報値の4.9%増から上方改定され、伸び率は21年10─12月期以来の高水準だったほか、予想の5.0%も上回った。

これを受けドルは上昇。ウェルズ・ファーゴ(ロンドン)のマクロストラテジスト、エリック・ネルソン氏は「GDP改定値を受け、ドルはやや上昇した。循環的な要素である投資がやや力強かった」と述べた。

ドルは対ユーロで上昇したほか、主要6通貨に対するドル指数も上昇。ただ、米連邦準備理事会(FRB)が来年上半期にも利下げに着手するとの観測が高まる中、11月は月間ベースで2022年11月以来の大きな下落となる見通し。

アムンディUS(ボストン)の債券・外為戦略部門責任者、パレシュ・ウパジャヤ氏は「これまでの数週間にわたりドルが売り込まれていたことを踏まえると、この日に若干の買いが入るのは自然なことだった」と述べた。

今週は、FRBのウォラー理事がインフレ率が低下し続ければ数カ月先に政策金利を引き下げる可能性を示唆。パウエルFRB議長は12月1日に大学での対話集会に参加するが、発言内容が注目されている。

終盤の取引でドル指数は0.22%高の102.84。アジア時間の取引では102.46と、8月初旬以来の安値を付けていた。

ユーロは0.17%安の1.0973ドル。ドイツ連邦統計庁が発表した11月の消費者物価指数(CPI)速報値は、欧州連合(EU)基準(HICP)で前年比2.3%上昇した。伸びは前月の3.0%から鈍化し、2021年6月以来の低水準だった。

ドルは対円で0.09%安の147.30円。

オンショア人民元は1ドル=7.1246元と、6月16日以来の高値で取引を終えた。

<債券> 国債利回りが低下した。この日発表された2023年第3・四半期の実質GDP改定値は上方改定されたが、FRBによる利下げが近いとの見方を覆すには至らなかった。

10年国債利回りは一時9月14日以来の低水準となる4.253%まで低下した。終盤では7ベーシスポイント(bp)低下し4.269%だった。

さらに、FRBが29日に公表した地区連銀経済報告(ベージュブック)も景気減速を示した。前回報告以来、多くの地区で経済活動は横ばいから小幅鈍化した。

CMEのフェドウォッチによると、フェデラルファンド(FF)金利先物市場では、FRBが5月に少なくとも25bpの利下げを実施する可能性が80%近くに達した。28日の約65%から上昇した。3月に少なくとも25bp利下げが実施される可能性も、前日の約35%から50%近くに上昇している。

30年債利回りは8bp低下の4.444%。

2年債利回りは一時7月13日以来の低水準となる4.608%を付けた。終盤は9bp低下し4.65%だった。

2年債と10年債の利回り格差はマイナス38.3bpだった。

物価連動国債(TIPS)と通常の国債の利回り差で期待インフレを示すブレーク・イーブン・インフレ率(BEI)は、5年物が2.171%、10年物が2.224%。

<株式> S&P総合500種とナスダック総合が小幅下落して取引を終えた。第3・四半期の実質GDP改定値が速報値から上方改定され、リセッション(景気後退)懸念が和らいだものの、FRB当局者の発言を受け、制約的な政策がどの程度続くかを巡る疑念が生じた。

ダウ工業株30種はほぼ横ばい。インフレ関連の重要指標である個人消費支出(PCE)発表を30日に控え、様子見ムードが広がった。

主要3指数はここ数日、小幅な値動きにとどまっているが、11月に好調なパフォーマンスとなっており、S&P500は月間では依然として昨年7月以来の大幅な上昇率を記録する見通し。

インガルス・アンド・スナイダーの上級ポートフォリオストラテジスト、ティム・グリスキー氏は「市場は大きなリターンを得たため、利益確定やポジション調整が見られ、若干の値固めとなっている。企業業績が非常に好調で、楽観的な見方が多い」と語った。

リッチモンド地区連銀のバーキン総裁は29日、インフレ率が2%に向けて順調に低下しているとの見方に疑念を持っているとし、物価上昇が再燃した場合に備え再利上げの選択肢を残しておく必要があるとの考えを示した。

一方、FRB内でタカ派として知られるウォラー理事は28日、インフレ率が低下し続ければ、数カ月先に政策金利を引き下げる可能性を示唆した。

クリーブランド地区連銀のメスター総裁は29日、FRBは経済データに「機敏」であることが必要だと改めて指摘した。

米商務省が29日発表した第3・四半期実質GDP改定値は年率換算で前期比5.2%増と、速報値の4.9%増から上方改定された。

S&P主要11セクターでは不動産と金融の上昇率が最大だった。通信サービスは1.1%下落した。

マイクロソフトやアップルなど金利動向に敏感なモメンタム銘柄がS&P500の重しとなった。

医療保険大手のヒューマナとシグナはそれぞれ5.5%安、8.1%安。関係筋によると、両社は合併に向けて協議中。

自動車大手ゼネラル・モーターズ(GM)は9.4%上昇。100億ドルの自社株買いと33%の増配を実施すると発表した。

フォード・モーターも2.1%上昇した。

<金先物> 米利下げ観測の台頭を背景に買いが強まり、上伸した。この日から新たに中心限月となった2月物の清算値(終値に相当)は前日比6.90ドル(0.33%)高の1オンス =2067.10ドルと、中心限月清算値ベースでは2020年8月以来約3年3カ月ぶ りの高値を付けた。

<米原油先物> 石油輸出国機構(OPEC)主導による閣僚級会合の行方が注視される中、続伸した。米国産標準油種WTIの中心限月1月物は前日清算値(終値に相当)比1.45ドル(1. 90%)高の1バレル=77.86ドル。2月物は1.40ドル高の77.99ドル。

OPEC加盟・非加盟の産油国で構成する「OPECプラス」は30日にオンライン形式で閣僚級会合を開き、2024年の生産目標を決定する。相場は朝高のあと、利益確定の売りにいったん75ドル台まで下落。ただ、OPECプラスが日量100万バレルの追加減産を検討しているとの一部報道が伝わると、午後に改めてプラス圏に浮上し、78ドルを試す展開となった。

黒海付近での荒天でカザフス タンやロシアからのエネルギー供給に混乱が生じるとの観測も支援要因となったもよう。

ドル/円 NY終値 147.24/147.25

始値 147.62

高値 147.90

安値 147.09

ユーロ/ドル NY終値 1.0968/1.0972

始値 1.0983

高値 1.0994

安値 1.0961

米東部時間

30年債(指標銘柄) 17時05分 105*02.00 4.4426%

前営業日終値 103*22.00 4.5240%

10年債(指標銘柄) 17時05分 101*30.00 4.2590%

前営業日終値 101*10.00 4.3360%

5年債(指標銘柄) 17時05分 100*23.00 4.2141%

前営業日終値 100*12.75 4.2860%

2年債(指標銘柄) 17時05分 100*13.88 4.6455%

前営業日終値 100*08.38 4.7360%

終値 前日比 %

ダウ工業株30種 35430.42 +13.44 +0.04

前営業日終値 35416.98

ナスダック総合 14258.49 -23.27 -0.16

前営業日終値 14281.76

S&P総合500種 4550.58 -4.31 -0.09

前営業日終値 4554.89

COMEX金 2月限 2067.1 +6.9

前営業日終値 2060.2

COMEX銀 3月限 2544.3 +14.1

前営業日終値 2530.2

北海ブレント 1月限 83.10 +1.42

前営業日終値 81.68

米WTI先物 1月限 77.86 +1.45

前営業日終値 76.41

CRB商品指数 275.4432 +1.7692

前営業日終値 273.6740

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