- 2023/11/30 掲載
カナダの原料炭出資で事業利益上積み、年700―800億円=日鉄副社長
[東京 30日 ロイター] - 日本製鉄の森高弘副社長は、カナダの鉱山会社テックリソーシズの原料炭事業に2割出資することを決めたことについて、事業利益が年間700―800億円上積みされるとの見通しを明らかにした。ロイターとのインタビューで語った。原料炭と鉄鉱石の自社権益をそれぞれ4割程度まで高める考えも示した。
日鉄は今月、テック社が分離する原料炭の事業に20%出資(約13.4億米ドル、約2000億円)することを決定した。脱炭素の流れの中でも原料炭は製鉄に欠かせない一方、開発投資が十分ではないことから中期的に需給がひっ迫して価格が上昇すると日鉄はみている。森副社長は「自社の権益として確保しておくことは非常に大事だ」と指摘した。
原料炭の自社権益比率はこれで30%に高まるが、森副社長は追加投資を「当然考えていく」と述べ、40%程度まで引き上げる考えを示した。鉄鉱石の自社権益比率についても、現状の20%程度から同水準まで高める。
森副社長は「(日鉄の)製品構成をみると約40%が市況品。市況品を全くニュートラルにしようとすると40%の自社権益を持つほうが良い。案件をよく吟味しながら、40%位を目指してやっていきたい」と述べた。
このほか森副社長は下期の業績見通しについて、ほぼすべてのリスクを織り込んでいるとし、「良くなる部分については上振れ要素となると思う」と述べた。今月上旬の決算発表の席上では、原材料高・製品安で「未曽有の厳しい経営環境」と語っていたが、足元は中国の景気対策への期待などで鋼材市況が底を打ち、「少し状況は好転してきている」という。
今後は中国や東南アジア諸国連合(ASEAN)で実需が出てくるかどうかがポイントになるとの見方を示した。
*インタビューは28日に実施しました。
(清水律子、大林優香 編集:久保信博)
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