- 会員限定
- 2015/10/16 掲載
これを知らなければ、データ分析ツールの導入はムダに終わる
"分析スキル"と"統計知識"は「データを活かせない」理由ではない?
では、そのギャップはなぜ、なかなか埋まらないのでしょうか?
恐らく多くの人は、「自分(や自分の職場)には、統計知識や分析スキルが無いから」と諦めているのではないでしょうか? 同時に、世の中で騒がれている「ビッグデータ」や「データサイエンティスト」という華やかな言葉を耳にすると、「へぇ~、そういう"凄い"人や技術で"凄い"ことができるんだぁ~」と、自分とは関係のない遠い異国の話のように聞き流しているかもしれません。
本当に「分析スキルと統計知識」や「大量のデータを処理する技術やシステム」の有無だけが課題なのでしょうか? もし、あなたがデータ分析を生業とする立場であれば、これらの要素は極めて重要で、無いと「お話にならない」可能性が高いでしょう。
一方で、その他圧倒的大多数の一般的な実務を日々行う人の場合はどうでしょうか。自分の本業の中でデータをできるだけ活かして、パフォーマンスを上げられたらいいな、と考えている人にとって、実はこれらの要素はさほど大きな要因ではないのです。では、それは一体何なのでしょうか。
平面的なデータから多面的なインサイトを引き出す視点とは
「売り上げ実績をグラフ化するだけ」といったデータの"平面的な"使い方を、私は「データ分析ではなく、データ整理」と呼んでいます。「データ整理」しかできていない人が、データを多面的掘り下げて、平面的な視点では見えない情報を引き出す「データ分析」ができるようになるために必要なポイントは大きく次の2つがあると考えています。・データを1軸だけでなく2軸で掛け合わせて見る視点
・データ分析前に必要となる、「課題設定」と「仮説思考」
ここでは、最初の「2軸で見る視点」について、分かり易い例で見ていきましょう。
例えば、あるレストランの来店者に7項目にわたる満足度のアンケートを取ったとします。「総合評価」を上げることによって、リピート客を増やすことが最終目的です。そこで多くの人は、そのデータを前に項目ごとの平均点を出して、グラフなどで可視化しようとします(図1)。
これを見て分かることは、例えば次のようなことです。
・一番点数が良かったのは「味」だ
・一番点数が悪かったのは「店の雰囲気」だ
・「価格」、「メニューの豊富さ」、「味」が「総合評価」の平均点を上回っている
ではここから"次の効果的な一手"はロジカルに出てくるでしょうか? きっと、
「店の雰囲気は最低だって? まずい! 今すぐこれを改善しよう!」
なんてことになるのではないでしょうか?
でもちょっと待ってください。このグラフからわかることは、点数という結果の高低(大小)だけです。例えば、低い点数の項目を改善することに多大なリソースを費やしたとしても、それが総合評価を上げるという保証はどこにもありません。にもかかわらず、このように、
といったことに留まっている、その結果本当に実が取れるのかは「やっていないと分からない」というケースが後を絶ちません。これでは、まだまだ「データ整理」の域を出ていません。
ここで着目頂きたいのは、「平均点」という一つのデータだけを見ていることです。それが縦軸に表されています。つまり、1軸だけでモノゴトを見ているわけです。
ここで考えてみたいのが、この課題でキーとなり得る「もう1つの軸」です。
【次ページ】 軸を1つ加える「だけのこと」がいかに重要か
関連コンテンツ
PR
PR
PR