• 2011/08/10 掲載

富士通、ネットワークの電力を20%削減できる自動設計技術を開発

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富士通と富士通研究所は10日、イーサネットで構築されたネットワーク全体の消費電力を従来と比べて最大約2割削減できる自動設計技術を開発したと発表した。ネットワーク機器の構成や回線の接続の仕方を考慮し、膨大な設計パラメーターを線形計画問題として解くことで、ピーク時のトラフィックに対応しながらネットワークの消費電力量や機器設置コストを最小に設計できるという。
 総務省が3月に発表した『我が国のインターネットにおけるトラヒックの集計・試算』によれば、インターネットトラフィックは毎年約25%ずつ増加し続けており、それにともなってネットワークを構成する機器の消費電力も増加し続けている。同調査では、2025年には日本国内のトラフィック量が100テラビット毎秒以上に達し、ネットワークだけでICT全体の20%の電力を消費する見通し。そのため、これらの電力増加を低減するための技術が必要とされていた。

 従来、ネットワーク設計は、ピーク時のトラフィック量に対応することを最優先に設計されていたため、消費電力が必要以上に大きい場合があった。ただ、これを抑制するとなると、拠点間の通信速度など数多くの設計条件を考慮しなければならず、人手でのネットワーク設計では限界があった。

 今回、富士通ではデータセンターなどの大規模なイーサネット網を対象に、ネットワーク構成、拠点間の通信速度、使用する機器などの関係を表した膨大な設計パラメーターを線形計画問題として数式化。それらを解くことで、ネットワークの消費電力量や機器設置コストを最小化するネットワーク設計技術を開発した。

 これにより、人手では設計することが不可能な多くの設計条件を考慮しつつ、ネットワーク条件を打ち込むだけで最適なネットワーク機器が選択できる。消費電力削減を目的とした設計の試行によれば、最大で約2割の削減が可能になったという。

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ネットワーク自動設計技術の概要

 今後はイーサネット以外のネットワークへの適用を可能にするための開発を進め、実用化に向けての研究を推進していく。

 本技術の詳細は、9月13日(火曜日)から北海道大学(北海道札幌市)で開催される「電子情報通信学会ソサエティ大会」にて発表する。

 なお、本技術の一部は総務省の委託研究「クラウドサービスを支える高信頼・省電力ネットワーク制御技術の研究開発(環境対応型ネットワーク構成シグナリング技術)」および「最先端のグリーンクラウド基盤構築に向けた研究開発(環境対応型ネットワーク構成シグナリング技術)」によるもの。

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