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- 2008/01/10 掲載
【連載】社内で導入するための実践「1枚企画書」講座(4)3タイプの「情況」と「判断」(2/3)
このように暗黙の要請があれば、「問い」がなくても企画を起こすことができます。そうした企画提案を歓迎しない会社があれば、その体制自体に問題あると言わざるを得ないわけで、それをこそ、問題視しなくてはいけません。
一口に「問題」といっても、いろんなことが挙げられます。「うちの会社には問題がない」といった場合、その「問題」というのは「困難な情況」を指しているものと考えられます。たとえば、「売上げが明らかに下降している」「社員の士気が落ちている」「顧客離れに歯止めが利かない」といったことで、この場合の問題とは英語でいうとTrouble(困難な情況)にあたります。
通常、企画をするとはTrouble を解決することと捉えることが多く、これが「問い」になるわけですが、問題とはいえないけど、何かもっといい状態があるかもしれない、というのは解決しなければならないProblem(課題)で、これも企画の対象になります。
ですから「うちの会社には問題がない」といまは言えるかもしれませんが、「何かもっといい状態」を目指そうというなら、解決すべきProblem(課題)はいくらでも見つかるはずで、そういう意味で、企画というのはいつでも、どこからでも生まれてこなくてはおかしいのです。
Any problem ?(何か課題はないか)こう常に問い掛けるのが企画にかぎらず重要なことなのです。
Problem(課題)も緊急の事態ではありませんが、「思わしくないもの」といったニュアンスがあります。しかし企画では、「思わしくないもの」とはいえなくても、時代の移り変わりや、社会の様相の変化に注目して見ていると、何かの手段を講じなければならないケースも出てきます。例を挙げると「ファミリー客が主体だと思っていたが、最近は中高年の女性連れが多いようだ」「休日よりも平日に来店されるお客さんのほうが、客単価が高くなっている」「健康志向の高まりで、栄養価が高いとうたうとよく売れるようになった」といったのもそれです。
こちらも、企画依頼がなくても企画になる例で、ここでやるべきことはというと、目の前で起こっていることからTheme(テーマ)を引き出して、それを企画対象として認識し、何らかの解決法を見出すべきである、ということです。
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図2:データをグラフ化することで、 企画のTheme(テーマ)にすべきだと訴えた「1枚企画書」 |
同じく上の部分を変えた企画書をご覧ください。ここではデータをグラフ化して、企画のTheme(テーマ)にすべきだということを訴えています。こうした発想法を、問題解決型に対して課題提起型と呼ぶことができます。
問題解決型にせよ、課題提起型にせよ、そこには解決すべきことが横たわっています。それが良くないことか、より良いものにすることができるものなのか、程度や質に差はありますが、広い意味で問題解決を目指していることに変わりはありません。
しかし企画をするときのことを考えると、必ずしも問題解決を意図していないことがあるというのも事実です。それは「ひらめき」とか「思いつき」と呼ばれるもので、ここからも企画がスタートします。
たとえば休日に観光地に旅行にいったとします。周囲のカップルの持っているデジカメに注目すると、いろんなメーカーのものを使っているけど、こうした“カップル御用達”みたいな商品があってもいいのでは、と思うことはないでしょうか。
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図3:“恋愛カメラ"の「1枚企画書」
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これは企画依頼者の「問い」がないケースで、また「問い掛け」にあたるものも存在しないものですが、企画にしてはいけない理由はどこにもありません。
企画書では「データを示して、企画にすべき根拠を挙げて、それから本題に入る」という手続きをとるのがふつうですが、企画の発想というのは、データに目を通していて、論理的に考えて、その結果として思いつくものではありません。
そういうケースもまれにありますが、それより、「あ、こういうものがあったらいい」「これはキャッチフレーズに使えそうだ」「それにぴったりのネーミングが浮かんだ」といった「ひらめき」とか「思いつき」が起点となることが圧倒的に多いはずです。もちろんそうした場合でも、企画提案を期待されていたり、何かあれば企画をしてみたいという強い思いが日常的に持続していたりすることが条件になることは言うまでもありません。
「1枚企画書」が活躍するのは、実はこうしたアイデアに格上げされる前段階の思いを形にするという用途なのです。企画を依頼されていないのに、数枚にもおよぶ企画書を作成したりすると「貴重な時間を使って何をやっているんだ」と叱責されても文句は言えません。しかし、1枚でササッと仕上げて、「これはどうでしょうか」と上司のもとにもっていけば、内容次第では正式の企画として取り上げてくれることも大いにあり得ます。
こうした形態は、問題解決型、課題提起型に対して気づき発想型と呼ぶことができます。
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図4:今回取り上げた、企画書の3つのタイプ
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「1枚企画書」はそうしたパワーの源なのです。
今回取り上げた、企画書の3つのタイプを整理しておきましょう。企画をする、企画書の形に落とし込む、ということを考えるとき、それがどのタイプになるのかを考えることにしましょう。それによって「1枚企画書」も形を変えます。
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