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AIの普及が進む中、ビジネスにおいてデータを活用する重要性はこれまで以上に増している。そうした変化に伴い、データ/アナリティクス(D&A)組織に求められる役割も以前とは変わってきている。ガートナーによると、AI時代に求められるD&A組織を作り上げるには「人」と「可視化」がカギになるという。これまでのD&A組織を具体的にどう見直し、一体何を変えていけばよいのかを解説する。
今「D&A組織」に求められていることとは
生成AIの重要性の高まりを背景に、人の働き方やチームのコラボレーション、業務プロセスのあり方が大きく変わりつつある。
たとえば、各種AIやRPAなどの最新技術を活用した新時代の自動化であるハイパーオートメーション。そこで目指すのは、人による単純作業の自動化の先にある、人の判断の自動化と複数タスクのオーケストレーションによる一連のプロセスの自動化、さらに、自動化の範囲が社外の取引先や顧客にまで拡張することでの抜本的な業務改革だ。
こうした状況について、「データ活用に乗り出す部門の増加は確実です。では、増加・多様化し続ける現場の要望に現状のD&A組織で果たして適切に対応していけるのでしょうか。D&A組織のリーダーには、その観点からの体制や能力のチェックが、自身の職責を果たすためにも急務となっています」と強調するのは、ガートナー シニア ディレクター アナリストのマイケル・ギャバード氏だ。
ガートナーでは、D&Aリーダーの支援に向けた「D&A組織の成功要因」や「成功を阻む障壁」に関するアンケート調査を継続的に実施している。そこに寄せられた回答では、D&A組織の成功要因については「ビジネス戦略と合致するD&A戦略」や「適切なスキル、スタッフ、人材、役割」、「データドリブンな文化のサポート」が挙げられる一方で、成功を阻む障壁については、「スキルや人材の不足」や「プログラムをサポートするリソースと資金の不足」、「変化の需要という文化的な問題」が多く挙げられているという。
成功も失敗も「人」が重要と言えるワケ
ギャバード氏は、これらの調査結果から言えるのは、成功と失敗の双方とも“人”が大きく影響していることだと指摘する。
アンケートの回答にある、「ビジネス戦略と合致するD&A戦略」や「プログラムをサポートするリソースと資金の不足」といった要因は一見、人との関係は薄いと感じられるが、「ステークホルダーの成果」という観点で考えれば、人が深く関わっていることが理解できるはずだ。
実際、ガートナーが作成している「D&A戦略とオペレーティングモデルのフレームワーク」でも、価値の定義である「戦略」と、そのデリバリである「オペレーティング」の双方に人に関わる項目が組み込まれているとギャバード氏は話す。
「組織の基本はやはり適切な人材配置で、それはD&A組織でも変わりません」(ギャバード氏)
もっとも、こうした人材の重要性自体はすでに広く理解されながらも、D&A組織を取り巻く環境の急変が取り組みを難しくさせている面は否めない。その一端が垣間見られるのが最高データアナリティクス責任者(CDAO)のレポートラインだ。直属の上司となる最高情報責任者(CIO)への報告はもちろん、今では報告先は最高経営責任者(CEO)や最高執行責任者(COO)、最高財務責任者(CFO)、さらにビジネス部門のリーダーにまで拡がっている。
「D&A組織には全社から多様な期待が寄せられています。そこで求められる役割は、技術的な最新ソリューションの提供の場合もあれば、むしろビジネス思考的な新たなアイデア創出の場合もあります。D&Aリーダーは組織の在るべき姿の見極めに向け、まずは企業の期待がどこにあるかを把握せねばなりません」(ギャバード氏)
技術革新が進む中、求めるべき人材も多様化している。IT側の人材であるデータ・エンジニアやプロンプト・エンジニアはもちろん、企業の求めに応じてビジネス側となるアナリティクス・エンジニアやデータ・サイエンティストなどの配置も新たに必要となる。もちろん、新たな人材配置は手間とコストの双方で一筋縄ではいかないことも多く、IT側とビジネス側の考えを仲介する人材も場合によっては必要なため、必然的に組織の見直しも生じ得る。
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