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  • 2024/03/08 掲載

デジタル化を阻む社員の「知識不足問題」、抜本改善に“役立ちすぎる”学習法とは

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今やビジネスに必要不可欠になりつつあるデジタル技術・ツールの活用。しかし、従業員のITリテラシーの低さから、導入した技術やツールの能力を十分に生かせていないケースも散見される。DXを適切に推進するためには、ITスキルの教育をどう行うのが正解なのか。ガートナーが解説する。
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従業員のITリテラシーはどのように向上させればよいのだろうか
(出典:ガートナー(2023年8月))

DXが進まない企業が抱える「ある問題」

 企業が厳しい競争を勝ち残る上で、デジタル技術やツールの導入・活用はもはや不可欠だ。各種の業務効率化はもちろん、生産年齢人口の減少が続く中での従業員の確保と従業員満足度の向上、さらに事業継続性の確保など、その効果は多面的に発揮される。

 しかしその一方、現場でのデジタル活用は、国内では思いのほか進んでいない現状があるようだ。日本企業のデジタル活用に関するガートナーの調査では、企業の7割が活用に「積極的」と回答する一方で、ビジネスへの貢献度では一転して「10~30%未満」、「30~50%」とする企業が多数を占める。

 こうした現状について、ガートナー ディレクター・アナリストの針生恵理氏は、「中には『0~10%未満』の企業も存在します。そこから確実に言えるのは、デジタルを導入しながらも活用しきれていない企業が、DXの必要性が叫ばれる今になっても依然、高い割合で存在するということです」と指摘する。

 その原因としては、「ツールの使いにくさ」など挙がるが、針生氏がより根深い問題として指摘するのが、従業員の「ITリテラシー」の低さだ。

 デジタル技術の革新は急で、理解すべき内容の移り変わりも速い。セキュティ分野はその典型で、新たな攻撃が登場するたびに、それに対応すべく新たな知識が求められ、併せて対策や社内のルールも場合によっては数カ月という短期間に変わり続けている。

 プログラミングやAI・機械学習の重要性が数年前から叫ばれながらも、人材不足がいまだ解消されてはいないのは、こうした急激な変化に教育体制が追い付けず、従業員の知識不足を解決できていないという面があるためなのだ。

ITリテラシー向上に必要な視点とは

 この教育体制の遅れは、従業員の視点からも浮き彫りになっているようだ。

 従業員へのITリテラシー教育に関するガートナーの調査において、回答者の73%が自社のITリテラシー教育への姿勢を「積極的」と答える一方で、内容について「満足していない」との回答が50.9%と過半を占めるという結果が出ている。

「デジタルの重要性を踏まえれば、技術の移り変わりの速さを織り込んだITリテラシー教育の見直しが急務です。今のままでは組織的なITスキルの底上げは到底期待できません」(針生氏)

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ガートナー
ディレクター・アナリスト
針生恵理氏

 では、ITリテラシーの見直しにおいては、どのような視点が必要とされるのだろうか。

 社員教育における一連のプロセスにおいては、学ばせる知識やスキルを決定する「開発」、学習法を見極める「手段」、学習内容を現場でどう生かすかの「実践」の3つの分野で、それぞれ抑えておくべきポイントがある。

 まず「開発」においては、従業員にどんなスキルを学ばせるべきかを、技術の移り変わりの速さから教育側も十分には把握できていないという課題が存在する。

 その打開策となるのが、必要となるスキルの体系化だ。全従業員が持つべきスキルを「コア・スキル」、社内的な役割に応じて持つべきスキルを「ジョブ・スキル」、将来の競争力につながるスキルを「差別化スキル」として3つのレイヤーに分けた体系化が有効である。体系化を通じ、どんな社員にどんな教育を実施すべきかが明らかとなる。

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身に着けるべきスキルをビジネスと連動させて体系化することが効果的だ
(出典:ガートナー(2023年8月))

「データ解析のスキルは、多くの企業でジョブ・スキル以上に含まれますが、全社的なデータ活用の実現を目指せばコア・スキルに含まれます。知識の重要性は企業ごとに異なることを踏まえて自社でのスキルの重み付けを行い、レイヤーに学習内容を紐付ける形で決定します」(針生氏) 【次ページ】単純なのに「有効すぎる」学習手法
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