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近年、BIの中でも特に広がりを見せているのが一般のエンドユーザーが自身で分析やレポートを作成できる「セルフサービスBI(セルフBI)」だ。しかしセルフBIには、その成功事例が「分析者」と「分析結果の利用者」が近いマーケティング分野などに限定されるといった批判もある。データに基づいた行動を組織として実現するには、「スキルを問わない」分析環境が必要だ。分析スキルを持つ者だけが得てきた「個人知」を「組織知」に変換するには何が必要なのか。

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デジタル化を推進するには、「データ」に基づく行動を増やす必要がある
(Photo/Getty Images)

デジタル化に必要なのに見落とされがちな「スピード」とは

 ビジネスのデジタル化が進み、インターネットの世界でサービスや商品を提供する企業が増えている。そしてデジタル化の波に乗った新興企業は、製造、小売、金融などの業種にも押し寄せている。新興勢力に対抗するため、既存企業もデジタル化を急いでいる。

 デジタル化のポイントとなるのは、3つに分類される「スピードの変革」だ。

 多くの人に理解されているのは3つのうち2つ、「情報を把握するまでのスピード」と、タイムリーなKPIの修正など「環境変化に対応するスピード」だ。この“2つのスピード”の課題に対し、IT部門の介在なく、データに関するタスクを事業部門のみで実施できるという意味で有効なのが、セルフBIだ。

 セルフBIは、「何が起きたか(課題)」「なぜそのような事態になったか(要因)」を分析し、対策を企画/立案する目的で使われることが多い。「データの準備から分析まで」を自分の環境のみで実現する機能を備えているのである。

 一方、セルフBIを使いこなし、表示されたグラフなどから課題や要因を瞬時に読み取る分析スキルを備えた人は少ない。グラフから課題を認知する速度には利用者によって大きな差があるのだ。

 見落とされている、3つ目の「スピードの課題」はここにある。つまり、「表示された情報から課題を読み取るスピード」こそが、解決すべき最重要テーマとなっている。

 そこでカギを握るのが、多くのBIに備わり、データに関するさまざまな情報をひとまとめに表示して理解を促すことができる「ダッシュボード」機能だ。

 だが、セルフBIで「分析者が自分で見る」のと同じ感覚でダッシュボードを作成してしまうと「作成者にしか理解できない」ものになり、データの「見せる化」に失敗してしまうケースが多い。

 分析スキルを備えたユーザーのみならず、一般ユーザーを巻き込んで「3つのスピード変革」からデジタル化を促進する方法とは。ダッシュボードやBIのあるべき姿を解説する。

この記事の続き >>
・ダッシュボードへの不理解が組織知への発展を阻害している
・専門知識を持たないユーザーが「要因把握」を行うには?
・データに基づいたコーチングが必要な理由

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