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コーヒーチェーン世界大手の米スターバックスは、最高水準の顧客サービスを維持すべく、3万店以上ある店舗から生成された膨大なデータをイノベーション創出、業務改善などに役立てていた。しかし、ペタバイト規模にまで膨れ上がったデータは構造化・非構造化データが入り混じり、システム間で断片化されているなどの状態で、顧客やビジネスの全体像を把握するのが困難となっていた。また、データサイエンスチームや分析チームの統一性のないユーザーエクスペリエンス(UX)はイノベーションの障壁にもなっていたという。そこで同社は統合データ分析基盤を導入し、データ共有の容易化、部門間のコラボレーション促進、大規模な機械学習による新たな価値の創出に取り組んだ。本書は、同社がデータ戦略をどのように変革し、データ処理能力の向上、データサイエンス部門と分析部門へのデータ提供の迅速化などを実現したのか、その詳細な経緯を紹介する。

かつて、リテール業界におけるマーケティングの最も重要な情報源はPOSデータであり、「商品」を切り口にした分析が主流だった。しかし近年は、商品ではなく「顧客」を軸にした分析が注目されており、顧客の年齢層や購入履歴など、販売データと個人を紐付けたID-POSデータの分析・活用が不可欠となってきた。それとともに複雑化した分析手法に取り組んでいるのが、リテールAI研究会だ。生活消費財を全世界で販売するユニ・チャームや、創業120年の酒類・食品の総合卸である伊藤忠食品は発足時からの会員企業で、マーケティング強化に注力する両企業に対し、同研究会はAIによるビッグデータ解析を落としこむべく、「初心者に渡してもすぐに使いこなせる」というツールを導入した。それにより伊藤忠食品は「協調フィルタリング」による地域別棚割の検証、ユニ・チャームは「クラスタリング」による商品の絞り込みが実施可能となり、実店舗に変革をもたらしつつあるという。本書は、その詳細な経緯やデータ活用方法などについて説明する。


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