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ビッグデータが企業に与えている影響と顧客マインドの変化
──まずは、ビッグデータが企業に与えている影響、および顧客の変化についてお聞かせください。稲田氏:ビッグデータの特徴は、「数は多いけれど情報密度は薄い」データであることです。昔は、こうしたデータは活用できませんでしたが、いまはデータ処理が可能になり、商品開発や広告・マーケティングに活かすことができるようになりました。その結果、マーケティングの手法が、従来のマスマーケティングからより顧客理解を深化させたワンツーワン・マーケティングへと変わってきました。
それに伴い、顧客のマインドも大きく変わっています。従来は「商品」というモノを選択するだけでしたが、「サービス」という付加価値まで含めたモノサシで選択するようになり、今ではその商品・サービスを通じて得られる「エクスペリエンス(体験)」を重視するようになっています。良質なエクスペリエンスが積み重なることで、顧客は信頼できる提供者・メーカーと長く付き合うようになり、顧客ロイヤリティは非常にウェイトが高くなります。したがって、企業は顧客との関係性を重視し、顧客理解を深化し、顧客から選ばれ続けるためにデータを活用することが求められています。
──そうした変化の中で、顧客の「生の声」を聞くことができるコンタクトセンターの役割や価値も、変わってきたと言えるでしょうか。
稲田氏:かつて、コンタクトセンターの役割は、顧客対応やクレーム対応など「守り重視」で、どちらかというと企業にとっては「コストセンター」と位置づけられていました。しかし近年、これまで蓄積されたデータや、今までは把握できなかったデータを活用できる環境が整ったことで、戦略情報を集積して収益貢献につなげる「攻め重視」の「プロフィットセンター」へと変貌を遂げています。
先ほど、「ビッグデータは情報密度が薄い」と言いましたが、コンタクトセンターに集まる顧客の声は極めて情報密度が高く、かつ企業に関係する情報がほとんどなので、企業にとっては非常にありがたい情報源です。お客様と長く良質な関係を築くうえで、今後もますます重要なインターフェイスになるのがコンタクトセンターだと言えるでしょう。
また、このように重要な「顧客の声」をビッグデータの概念で活用するためには、「情報をしっかり取得できること=コールセンターがつながること」が大前提です。この分野でもデータ分析が進歩してきており、今まで企業側で把握することが困難だったデータを活用し「つながらない数や原因」を明確に把握する取り組みが始まっています。
データ活用のための意識改革 知的活動を強化する概念「IA」
──一方で、大量のデータをどうやって活用するか、その点に課題を感じている企業も多いかと思います。上手く活用するためには、どのような考え方や戦略が必要でしょうか?稲田氏:最近は、「IA」という考え方に注目しています。IAは「Intelligence Amplification」または「Intelligence Acceleration」のことで、データ活用によって人の知的活動を強化し、ビジネスや社会のイノベーションを加速しようという考え方です。IAによって、気づきの誘発や意思決定の迅速化、マッチングの最適化などが強化されると考えています。
たとえば、あるコンビニで「グリーンスムージー」という健康飲料がヒット商品になった例があります。ヒット商品はリピート率が高くなる傾向がありますが、商品の担当者は、データ分析の結果からグリーンスムージのリピート率が急上昇したことに気付きました。そこでヒットの可能性があると判断し、重点販売商品としてポップ広告やテレビCMを打ったところ、半年で1000万本を超える大ヒットにつながりました。これは、データ活用が社員の気づき、つまり知的活動を強化した例といえます。
・結果が出ないのは、「守り」と「改良」の発想に縛られているから
・把握することが困難だったコールセンターにつながる前のデータも活用し「つながらない数や原因」を分析できるナビダイヤル事例
・テクノロジーが進む中で、「人間」が強さになる
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