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  • 2015/12/15 掲載
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良いモノを作っていれば、放っておいても売れる時代は終わった。欲しいモノはインターネットで直接購入・問い合わせできてしまう世界で、企業の営業はどのように変わるべきなのだろうか? 早稲田大学ビジネススクール教授で、ローランド・ベルガーの日本法人会長を務める遠藤 功氏に、これからの時代に求められる営業のあり方やITとの関係についてお話を伺った。

お客様に解決策を提供できる会社しか生き残れない

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早稲田大学 ビジネススクール 教授
ローランド・ベルガー日本法人会長
遠藤 功氏

──最初に、近年の企業を取り巻くビジネス環境について、どのようにご覧になっていますか?

遠藤氏:一言で言うと、「市場が成熟している」。良いモノを作れば、放っておいても売れて成長できる環境ではなくなりました。さらに変化も激しいので、自然に生み出される需要を前提にしたビジネスでは立ちゆかず、需要を掘り起こす、需要を創り出した企業が勝つ、というのが今の背景だと思います。

 これまでは国も成長するし、産業も成長するし、人口も増えていくわけですから、成長を前提に経営ができましたが、今は成長を前提にはできません。放っておいたらどんどん市場が縮小する中で、新しい需要を掘り起こすということがないと、成長を手に入れることはできないのです。

──成功する企業とそうでない企業、今まで以上に優勝劣敗がハッキリし始めているようにも思えます。

遠藤氏:単純な製品やサービスは、いずれコモディティ化していきます。そうなると、価格競争に巻き込まれてしまうでしょう。ではどうするか。お客様のニーズをいち早く発掘して、お客様が困っていることに対するソリューションを提供する型のビジネスに発展させる必要があります。

 製品と製品を組み合わせるとか、ソフトウェアを組み込むなど、より付加価値の高いものを目指さなければなりません。お客様の求めているもの、困っているものへの解決策を提供できる会社は生き残っていけますが、そうでなければ、どこでも作れるものを安く提供するだけです。

需要を掘り起こさない営業はいらない

──うまく需要を掘り起こし、お客様にソリューションを提供するには、何が必要なのでしょうか。

遠藤氏:需要を掘り起こしたり、生み出しているのはどこが行っているかというと、間違いなく「現場」です。社長でも本社でもない。価値を生み出す主体は現場なのです。つまり、現場力が強くなければ新しい価値は生まれませんし、競争に勝つこともできません。現場力はこれまでもこれからも企業の屋台骨です。

 たとえば日本の自動車メーカーが世界で戦えるのはなぜかというと、現場力を磨き続け、競争力ある価値を生み出しているからです。品質を作り出すのも、コストダウンするのも、サービスを生み出すのも現場。そこを活かしながら世界一になった。そこに日本の企業の戦い方の原点があるのです。

──中でもトヨタの強さは際立っていますが、トヨタに特徴的なものは何かあるのでしょうか。

遠藤氏:トヨタの基本は「カイゼン」です。改善活動をやっている会社は数多くありますが、あれほど会社の根幹として磨き込まれている会社はありません。日常の中で現場が「より良くする」を続けています。地道に愚直にやってきたのがトヨタで、カイゼンが社風であり文化。口で言うのは簡単ですが、実行するのは難しい。何かを変える、というのは簡単ではありませんが、それが社風になっているというのは、他の企業にはなかなか真似ができないことです。

 こうした強い現場力を生むために最も必要なのは、社員一人一人の主体性、自律性です。決められたことを淡々とこなすのではなく、「少しでも良くならないか?」と考えて実行する。主体性、自律性がないと現場力は強くなりませんが、これを醸成するのは経営幹部の仕事に他なりません。

──現場には、「営業の現場」も含まれているのでしょうか?

遠藤氏:もちろん、現場には製造の現場、物流の現場だけでなく、営業の現場もあります。価値創造に関わっているところはすべて現場とも言えるでしょう。現場の中でも、営業は非常に重要な部分です。先ほど「需要を創る、需要を掘り起こすことが必要だ」とお話ししましたが、それを誰がやるかというと、お客様との接点となる営業以外あり得ません。逆に言えば、需要を掘り起こさない営業なんていらないのです。

誰でも営業できる時代は終わった、営業のプロフェッショナルが必要

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