孫正義社長の下、わずか1年で英語をモノにした経験から生まれた英語学習サービス
元ソフトバンク 社長室長 三木 雄信氏
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関係性の中で人は学び、成長する
──三木さんご自身は、どうやって英語を学ばれたのでしょうか?
三木氏:私はソフトバンクに入社する際、「日常会話の英語ならできます!」と豪語して入りました。しかし、孫 正義社長の秘書として働くうち、海外出張に同行する機会が訪れまして、すぐに英会話ができないことがバレました(笑)。孫社長の冷たい目を見て、このままではクビになる!と一念発起して、1年間集中して英語学習に取り組んだ結果、何とかビジネスで言いたいことが言えるレベルになりました。
こうした経験から得た英語学習のノウハウは、著書の『海外経験ゼロでも仕事が忙しくても「英語は1年」でマスターできる』にもまとめたのですが、英語学習サービスの下地になっていると思います。
──ロボットコミュニケーションなど、さまざまな事業を展開している中で、なぜ今、英語学習支援サービスなのでしょうか? そのきっかけ、経緯について教えてください。
三木氏:ソフトバンクを退職後に立ち上げたトライオンは、もともとeラーニングを大きな柱として事業を展開していました。我々は、いつでも、どこでも勉強ができる利便性を持つeラーニングが合理的な教育方法だと考えていたからです。しかし事業を進めていくうち、必ずしもそのメリットが勉強にプラスにならないことに気づいたのです。
今、教育分野で最も成功しているものの1つは、林 修先生などで有名なナガセの東進ハイスクールです。同校の授業はeラーニングが中心で、生徒はブースで映像を見ながら勉強をしています。しかし通常のeラーニングと異なる点は、わざわざ教室に行って、決まった時間に勉強することです。
──映像なら「いつでもどこでも」学べるはずなのに、決まった時間に決まった場所へ行くのですか?
三木氏:そうです。結局、学生は学習素材だけで塾を選ぶのではないのです。友達が通っていたり、チューターにいろいろと質問できたり、人と人との関係性があるコミュニティの中で、初めて勉強が捗ることを強く感じました。
我々もITのメリットを追求するだけでなく、いかに人が勉強したくなるのか、その点を教育の中核にすべきだと痛感しました。知恵や知識の共有だけでなく、人と人のつながりの中で、意欲を共有することが大事です。つまり「自分は頑張って勉強している!」ということを周りと共有するわけです。
私自身も過去に英会話学校に通い、何とか1年で英語を習得しましたが、それはやはり良き仲間や先生に恵まれたからです。「彼には絶対に負けたくない」「かわいい子の前で恥をかかないように予習しよう(笑)」という感じで、人は関係性の中で学び、成長していくのです。1人で何かを達成するのは、相当意志が強くなければできません。ダイエットも同じですよね。