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  • 2015/10/01 掲載
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YouTubeの動画を見て猫の画像を認識するようになったグーグルの開発した人工知能、プロの棋士に勝った将棋の人工知能、人工知能によるクルマの自動運転……等々。ここのところ、人工知能(AI)をめぐるトピックが話題だ。一昔前のSFの世界が、現実になりつつあるようにも思える。「『2001年宇宙の旅』のHAL 9000は実現できる」と主張する元グーグル日本法人名誉会長 村上 憲郎氏、現実のビジネスで人工知能を使ったソリューションを開発・提供しているUBICの最高技術責任者 行動情報科学研究所 所長の武田 秀樹氏に、人工知能の過去、現在、未来を存分に対談してもらった。


今は人工知能の第三次ブーム、その背景とは?

──今、人工知能(AI)が再び注目されています。その背景について、ご意見をお聞かせください。

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元グーグル日本法人名誉会長
エナリス 代表取締役社長
村上 憲郎氏
村上氏:ニーズとシーズが重なったのが大きいと思います。ニーズは、一言でいえばビッグデータの解析です。私はビッグデータ1.0、1.5、2.0と呼んでいます。1.0は従来の統計処理の手法だけで実現可能な段階、1.5はHadoopやCassandraなどの大規模データの大規模分散処理の段階、そして、2.0が非定型データ分析の段階です。マシンラーニング、中でもディープラーニングというブレイクスルーが起きて、このニーズにこたえられる技術が出てきたことが、現在の人工知能の第三次ブームの1つの背景であると考えています。

──一次、二次のブームについても教えていただけますか。

村上氏:第一次というのは、1956年のダートマス会議において、ジョン・マッカーシー(注1)が「人工知能(Artificial Intelligence)」という用語を提案したことをきっかけとするブームです。早い話が、コンピュータという計算機械に、なにがしかの知的作業をさせようという試みだったわけですが、その後は挫折の歴史であったわけです。とはいえ盛り上がったのは間違いなく、それが第一次ブームということになります。

 第二次ブームのきっかけは、日本の通商産業省(当時)が80年代に主導した「第五世代コンピュータ」という国家プロジェクトです。このプロジェクトには私も参加しましたが、いわゆるエキスパートシステムの開発を目指したもので、専門家の知識を集積して、専門家の業務をコンピュータにやらせることを目指しました。膨大な知識・ルールを集積しましたので、「ルールベースシステム」とも「知識ベースシステム」とも呼ばれました。第五世代コンピュータプロジェクトの成果としては、1980年代に日本のワープロ専用機の性能が一気に向上したことは挙げられます。シャープや松下電器などの若い研究者も参加していましたので、その成果を持ち帰って製品に反映したのです。その意味では、自然言語処理という観点で、それなりの成果はあったと考えています。

※注1:ジョン・マッカーシー(John McCarthy 1927年9月4日~2011年10月24日)。アメリカ合衆国の計算機科学者で認知科学者。初期の人工知能研究の第一人者で「人工知能(Artificial Intelligence)という用語を提案した。

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UBIC
執行役員
最高技術責任者
行動情報科学研究所 所長
武田 秀樹氏
武田氏:私は2002年あたりから自然言語処理を使ったアプリケーション開発をしていましたので、すでに第二次ブームで培われた土台の上に立っていたことになります。ビジネス観点で見たときには、2000年前後に自然言語処理をうまく使っていた企業としては、グーグルが飛び抜けていたと思います。

村上氏:グーグルのMapReduce論文が出たのが2004年です。多数のサーバーで巨大なデータを並列処理するための仕組みについて書かれた論文ですね。

武田氏:自然言語処理のアプリケーションを開発していた立場からすると、技術の使い方も上手いし、巨大なデータを扱ってサービスに昇華させているのが素晴らしいという感覚があり、とても勇気づけられました。当時は「マイニング」という言葉が一般的でしたが、膨大なデータから価値のあるものを取り出すという点で、とても参考になりました。

ビジネスでの人工知能の活用事例

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