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10年先を見据えたITインフラ再構築とは
──企業のITインフラの現状と課題についてお教えください。甲元氏:ITRでは、毎年中堅中小企業から大企業のIT部門や経営企画系部門の役職者に対し、IT投資に関するアンケート調査を行っています。そこでの主要なIT動向に対する重要度についての結果を見ると、ここ4年はITインフラの再構築を重視するとする企業が圧倒的に多く、重要度指数でトップになっています。最大の理由は、リーマンショックと3.11の東日本大震災で、企業がITインフラへの投資をずっと抑制してきたことがあります。最近、ようやくビジネスが上向き、それを千載一遇のチャンスもしくはラストチャンスととらえて、ずっと我慢していたITインフラの再構築に乗り出しているのです。どの企業も、10年たっても古くならないITインフラを求めています。そこで登場するのがクラウドです。パブリックとプライベートの使い分けは企業によって異なりますし、クラウドをどう定義するかも意見が分かれるところかもしれませんが、ITリソースを柔軟かつ弾力的に活用でき、利用効率も高いクラウドを否定する企業は極めて少数となっています。
──ビジネス側からIT部門への要求という観点では、いかかでしょうか。
甲元氏:IT部門は、経営陣からビジネスへの貢献を求められています。しかし、従来のITインフラでは限界があります。たとえば、M&Aが実施され、経営から早急なシステム統合を求められているのに、半年や1年かかるようでは、とても通用しません。あるいは、海外進出しようとしても、ITがグローバル対応できず、経営の足を引っ張ってしまっては、存在そのものを疑われかねません。これは大規模企業に限ったことではなく、厳しい競争にさらされている企業ではどこでも当てはまることです。もっと身近な例で言えば、システムのサイロ化が放置された結果、日々のビジネスを支える最低限のこともできなくなっています。たとえば、いまだに月に一度のバッチ処理でレポートを出すことしかできず、経営陣が毎日のビジネスの状態を把握できない。結果としてITが事業戦略に貢献できていない企業は、けっして少なくないのです。
小宮氏:サイロ化と甲元さんがおっしゃったのはまさにその通りで、アプリケーションもインフラもサイロ化しています。たとえばビッグデータ分析をしようとしても、データを集めるところでつまずいてしまうことがあります。したがって、最低限インフラだけは整備しておきたい、という声も多くの企業からお聞きします。
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