- 2025/03/11 掲載
日経平均が一時3万6000円割れ、24年9月以来 市場の楽観ムード後退
Hiroko Hamada
[東京 11日 ロイター] - 11日の東京株式市場で日経平均は一時1000円超下落し、節目の3万6000円を割り込んだ。3万6000円を下回るのは2024年9月17日以来。10日の米国株式市場では関税政策による景気減速懸念が意識され、主要3指数が急落。この流れを引き継いで、東京市場でもプライム市場の9割超の銘柄が値下がりするなど、ほぼ全面安の展開となっている。
楽天証券経済研究所のシニアマーケットアナリスト・土信田雅之氏は「市場では、状況が悪くなると関税を緩和したり、株価にプラスになるような発言が出たりするのではないか、との期待があった。ただ、ここにきてその期待は後退し、市場心理が悪化している」と話す。
日経平均は443円安でスタートした後、下げ幅を拡大し、一時1041円安の3万5987円13銭で安値を付けた。主力株が軒並み下げているほか、指数寄与度の大きいハイテク株の下落が目立ち、相場を押し下げている。東証33業種では全業種が値下がりし、中でも非鉄金属、銀行、証券、商品先物取引などの下落率が大きい。
米金利の低下などを背景に、為替相場ではドルが一時146.54円まで円高が進み、昨年10月4日以来5カ月ぶり安値を更新。円高基調が続いていることも株式市場の重しとなっている。
10日の米株安の背景には、トランプ米大統領の発言がある。トランプ氏は9日に放送されたFOXニュースのインタビューで、関税政策によって米国が景気後退に陥るかどうか直接的な言及を避けた。
これまでマーケットでは、いわゆる「トランプ・プット」への期待も意識されていたが、「関税政策が経済に与える悪影響がクローズアップされ始めている」(国内証券・シニアテクニカルアナリスト)という。
武藤容治経済産業相は10日(日本時間11日)、訪米中のワシントンで記者会見し、米国による関税措置は日本が対象になるべきではないと申し入れたことを明らかにした。ただ、米国からは、適用除外にするという言質はなかったといい、東京市場でリスクオフムードが強まったことも売り圧力につながった。
足元の日経平均は約5カ月続いていた中心的なレンジ、3万8000円―4万円を明確に下振れている。SBI証券の投資調査部長・鈴木英之氏は下値の目安について、「環境面で語るのは難しいが、バリュー面で判断すると、どん底だった昨年8月5日時点のPER14.5倍を当てはめれば、いったん日経平均3万6000円前後と算出でき、そのあたりで下げ止まる可能性がある」と指摘する。
テクニカル面では、日経平均が25日移動平均線から5―6%下げると自律反発の買いも入りやすく、「25日線から6%下げた3万6000円近辺では下げ渋るのではないか」(別の国内証券・ストラテジスト)との声も聞かれる。
三井住友トラスト・アセットマネジメントのチーフストラテジスト、上野裕之氏は「景気や政権支持率への悪影響が出かねず、いずれテコ入れがあると見込まれる。高関税を巡るやり取りは、最終的には穏当な内容に収まるとみている。そうなれば、株価の反発も期待できるだろう」と話している。
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