• 2024/07/18 掲載

焦点:多様な選択肢示す介入、円高を後押し 「原資制約説」も封印

ロイター

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Takaya Yamaguchi Makiko Yamazaki

[東京 18日 ロイター] - 先週末にかけ実施されたとみられる為替介入は、円高に振れた流れを後押しするなど、その手法について多様な選択肢を示すものとなり、投機に隙を与えない戦略と市場参加者の間で受け止められた。4月末からの直近3カ月間のドル売り/円買いは、国内総生産(GDP)の2%を大きく超える見込みで、一部で浮上していた「原資制約説」の封印にもつながりそうだ。

<投機がクロス円に軸足>

「投機によって円安になり、輸入物価が上がってしまい、国民の生活が脅かされるとしたら由々しきこと」。神田真人財務官は12日、介入の有無には言及を避けつつ、足元の円安を問題視する発言を行った。

日銀が公表している資料などによると、政府・日銀は11、12両日にそれぞれ為替介入に踏み切ったと推察される。実際に介入が実施されたかは財務省が今月末に発表する。

市場を驚かせたのは、急速な円安進行時ではなく「円高に被せる形で、円高の動きを加速させることを狙ったタイミングだった」(野村証券の後藤祐二朗チーフ為替ストラテジスト)ことだと、参加者は口をそろえる。

「投機的な動きが円安の背後にあるのは確かだが、介入直前に過度な動きはなかった。円安の水準に対する警戒感の強まりを受け、円安の動きを止めるというよりは水準を押し上げるような意図をうかがわせる介入だった」と、ニッセイ基礎研究所の上野剛志・上席エコノミストは振り返る。

対ドルにととまらず、クロス円に対するレートチェックがあったとされることも今回の特徴だ。

「介入警戒感の強かったドル円を避け、投機がクロス円に円売りの軸足を移していたきらいもあった。当局は、それも容認できないという動きで、多様な対応が可能なことを印象付ける介入だった」と、大和証券の石月幸雄シニア為替ストラテジストは言う。

<原資巡り、市場に誤解>

推計では、11、12両日で5兆円超のドル売り/円買い介入を実施したとみられ、今回の介入に先立つ大型連休前後の介入額(約9.8兆円)と合わせると15兆円程度に膨らむ。直近の実質GDPとなる2024年1?3月期の実額554.7兆円の2.7%に上り、名目値(597.4兆円)でも2.5%となる。

GDP比2%という水準は、米財務省が「為替操作国」と位置付ける基準の1つに定められ、「国際的に意識される水準」(市場関係者)との指摘がある。

ただ、米当局が2%とする基準は、自国通貨切り下げに伴う利益誘導をけん制する目的とされ、「外貨売り」となる介入は意図していない。また、米当局によると、為替操作国の認定は介入規模のGDP比に加え、過去12カ月のうち8カ月以上の介入が基準の1つとなる。22年秋の為替介入から約1年半が経過し、良好な日米関係を築くなかで「今回の介入で(為替操作国の)指定に近づくとは考えにくい」と、元財務省幹部は語る。

「円高に対抗するより円安是正(に向けた介入)の方が理解を得やすい」(別のOB)との見方もあり、今後の追加介入も正当化しそうだ。

市場では、GDP2%を超える介入に制約があるとの見方も一部で残っていただけに「規模を膨らませることで、市場の誤解に対し、修正を強いる面もあったかもしれない」(大和証券の石月氏)との声も出ている。

神田財務官は17日、共同通信のインタビューで「投機による過度な変動があれば、私としては適切に対応していくしかない」と語り、今後も為替介入を辞さない姿勢を示した。

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