- 2024/03/02 掲載
NY市場サマリー(1日)ドル/円上昇、S&P・ナスダック最高値 利回り低下
植田総裁は2月29日、ブラジル・サンパウロで開かれた20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議後の会見で、2%の物価目標の持続的・安定的実現について、現時点で達成が見通せる状況ではないとの認識を示し、「私の考えでは、今のところまだそこまでには至っていないということかと思う」と語った。
インフレ見通しのほか日銀の金融政策の行方は、春季労使交渉に左右される可能性があるとの見方が出ている。各社労組は13日の集中回答日に向け会社側と交渉。その後、日銀は18─19日に金融政策決定会合を開く。
終盤の取引でドル/円は0.09%高の150.10円。
ユーロ/ドルは0.31%高の1.0837ドル。
主要6通貨に対するドル指数は0.23%安の103.87。
この日発表の米経済指標では、米供給管理協会(ISM)の2月の製造業景気指数が47.8と、1月の49.1から悪化。50割れは16カ月連続となり、2000年8月─02年1月以来の長さとなった。
また、欧州連合(EU)統計局発表の2月のユーロ圏消費者物価指数(HICP)上昇率(速報値)は前年比2.6%で前月の2.8%から低下したものの、市場予想の2.5%をわずかながら上回った。
欧州中央銀行(ECB)と米連邦準備理事会(FRB)がいつ利下げに着手するのか見極める動きが続く中、ユーロは昨年11月以降、1.07─1.11ドルのレンジ内にとどまっている。
英ポンド/ドルは0.26%高の1.2655ドル。イングランド銀行(英中央銀行)のチーフエコノミスト、ヒュー・ピル氏は1日、英中銀の利下げ着手は「まだ遠い」との考えを示した。
暗号資産のビットコインは1.4%高の6万2320ドル。2月28日には6万3933ドルと、2021年11月以来の高値を付けていた。
<債券> 利回りが低下した。米製造業関連指標の悪化を受けた。一方、米連邦準備理事会(FRB)当局者の発言を背景に2年債利回りは2週間ぶりの低水準を付けた。
米供給管理協会(ISM)が1日発表した2月の製造業景気指数は47.8となり、1月の49.1から悪化した。50割れは16カ月連続となり、2000年8月─02年1月以来の長さとなった。2月はロイターがまとめた市場予想の49.5を下回った。
米ミシガン大学が発表した2月の消費者信頼感指数確報値も市場予想を下回った。
2年債利回りは10.6ベーシスポイント(bp)低下の4.540%と1月31日以来の大幅低下となった。指標10年債利回りは6.6bp低下の4.186%だった。
週間では2年債利回りは16bp、10年債利回りは8.4bpそれぞれ低下した。
FRBのウォラー理事は1日、FRBが主要な金融政策手段としてコントロールしている短期政策金利により合致するような短期証券(Tビル)に向けたバランスシートの修正にFRBが取り組むことを望んでいると指摘。短期債買いを拡大させる可能性があるとの見方につながった。
30年債利回りは4.4ベーシスポイント(bp)低下の4.331%となった。
2・10年債の利回り格差は35.6bp。
物価連動国債(TIPS)と通常の国債の利回り差で期待インフレを示すブレーク・イーブン・インフレ率(BEI)は、5年物が2.446%、10年物が2.322%だった。
<株式> S&P総合500種とナスダック総合が前日に続き終値ベースで過去最高値を更新した。人工知能(AI)への期待からテクノロジー株への買いが継続していることが相場をけん引。米国債利回りの低下も押し上げ要因になった。
エヌビディアやメタ・プラットフォームズなどのAI関連銘柄への買いが継続し、ナスダック総合はザラ場ベースでも過去最高値を更新。AI関連銘柄と半導体銘柄の買いに支えられ、2月は主要3指数がそろって4カ月連続で上昇した。
この日の取引でエヌビディアは4%高。終値ベースで時価総額が初めて2兆ドル台に乗せた。
アドバンスト・マイクロ ・デバイセズ(AMD)は5.25%高の202.64ドルと、終値ベースで過去最高値を更新。フィラデルフィア半導体指数も終値ベースで過去最高値を更新した。
この日はS&P11業種のうち、テクノロジー株が1.78%と、最も大きく上昇。一方、公益株は0.72%下落した。
個別銘柄では、デル・テクノロジーズが31.62%高。前日発表の第4・四半期決算(2月2日まで)は売上高が市場予想を上回った。
地銀のニューヨーク・コミュニティー・バンコープ(NYCB)は25.89%急落。同行は前日、「経営陣が内部管理に重大な脆弱性があることを確認した」と表明した。
航空機大手ボーイングは1.83%安。ボーイングが主要サプライヤーで元子会社の航空機部品スピリット・エアロシステムズの買収に向けた協議を進めているとの報道が嫌気された。
<金先物> 米長期金利の低下や対ユーロでのドル下落を背景に買いが膨らみ、続伸した。中心限月4月物の清算値(終値に相当)は前日比41.00ドル(2.00%)高の1オンス=2095.70ドルと、中心限月の清算値ベースで昨年12月27日以来約2カ月ぶりに史上最高値を更新した。週間では2.26%高だった。
米サプライ管理協会(ISM)が午前発表した2月の米製造業購買担当者景況指数(P MI)は47.8と前月(49.1)から低下。市場予想(ロイター通信調べ)の49.5を大幅に下回った。加えて、米ミシガン大学が発表した消費者調査によると、2月の景 況感指数(確報値)は76.9となり、1月の確報値(79.0)から低下。市場予想の79.6も大きく下回った。これらの弱めの指標内容を受け、米早期利下げ観測が意識され、米長期金利が低下。対ユーロでドルが下落し、金利を生まずドル建てで取引される金に旺盛な買いが入った。
<米原油先物> 有力産油国による減産継続観測を背景に買いが膨らみ、3営業日ぶりに反発した。米国産標準油種WTIの中心限月4月物の清算値(終値に相当)は前日比1.71ドル(2.19%)高の1バレル=79.97ドルと昨年11月以来約4カ月ぶりの高水準。週間では4.55%上昇した。5月物は1.64ドル高の79.09ドルだった。
石油輸出国機構(OPEC)加盟・非加盟の産油国で構成する「OPECプラス」は来週開催予定の会合で、4月以降の生産方針について協議する。市場では、サウジアラビアやロシアが自主減産を継続するとの見方が有力。一部では、さらに年末までの延長予想も浮上しており、需給引き締まりを見込んだ買いが先行した。
また、朝方発表された2月の米経済指標は、サプライ管理協会(ISM)の製造業購買担当者景況指数(PMI)、ミシガン大の消費者景況感指数(確報値)がいずれも市場予想を下回る低調な内容。これを受け、景気下支えに向けた早期利下げへの期待が再燃し、相場はドル安を追い風に一気に80ドルの大台に乗せた。その後、80ドル台後半では上値が重くなり、上げ幅をやや縮小した。
ドル/円 NY終値 150.15/150.16
始値 150.39
高値 150.71
安値 150.06
ユーロ/ドル NY終値 1.0835/1.0839
始値 1.0817
高値 1.0843
安値 1.0799
米東部時間
30年債(指標銘柄) 17時05分 98*20.50 4.3313%
前営業日終値 97*29.50 4.3750%
10年債(指標銘柄) 17時05分 98*16.00 4.1856%
前営業日終値 97*31.00 4.2520%
5年債(指標銘柄) 17時05分 100*12.50 4.1624%
前営業日終値 99*30.50 4.2600%
2年債(指標銘柄) 17時05分 100*05.50 4.5334%
前営業日終値 99*30.75 4.6460%
終値 前日比 %
ダウ工業株30種 39087.38 +90.99 +0.23
前営業日終値 38996.39
ナスダック総合 16274.94 +183.02 +1.14
前営業日終値 16091.92
S&P総合500種 5137.08 +40.81 +0.80
前営業日終値 5096.27
COMEX金 4月限 2095.7 +41.0
前営業日終値 2054.7
COMEX銀 5月限 2336.4 +47.9
前営業日終値 2288.5
北海ブレント 5月限 83.55 +1.64
前営業日終値 81.91
米WTI先物 4月限 79.97 +1.71
前営業日終値 78.26
CRB商品指数 277.1088 +2.0320
前営業日終値 275.0768
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