- 2024/01/29 掲載
情報BOX:中国恒大に清算命令、今後の展開は
[香港 29日 ロイター] - 香港の高等法院(高裁)は29日、中国不動産開発大手、中国恒大集団の清算を命じた。既に低迷する中国の金融市場に動揺が広がる可能性がある。
清算手続きは、多数の当局が関与していることから政治的要因が絡み複雑になる可能性がある。
<今後の展開は>
清算命令が出されると、まず暫定清算人が任命され、その後、正式な清算人が任命される。清算人は中国恒大の債務返済に向けて、同社の資産を管理し、売却準備を進める。
清算人が同社に十分な資産があると判断した場合や、友好的な投資家(ホワイトナイト)が現れた場合、総額230億ドルの債権を保有する海外投資家に対して、新たな債務再編策を提案する可能性がある。
清算人が社内事情を調査し、取締役による不正行為が疑われる場合、香港の検察当局に付託する可能性もある。
中国恒大は清算命令を不服として上訴することも可能だが、上訴期間中は清算手続きが進められる。
清算命令を受け、香港取引所は中国恒大と上場子会社の株式を売買停止とした。上場規則では、十分な業務と資産価値がある事業構造であることを示す必要がある。
<債権者が回収し得る債務の額と主な課題>
恒大は香港の裁判所での昨年7月の審理で、清算された場合の債権回収率を3.4%と試算したデロイトの分析に言及していた。
だが、許家印会長が犯罪の疑いで当局の捜査を受けていると9月に明らかにしたことを受け、債権者は現在、回収率が3%を下回ると予想している。
恒大のドル建て債価格は26日時点で額面1ドルに対し約0.01ドルだった。
同社資産の大半は債権者が売却または差し押さえ済みで、香港上場子会社の恒大物業集団と恒大新能源汽車集団の2社が残っている。2社の合計時価総額は26日までに9億7300万ドルに落ち込んだ。
清算人は恒大が保有する2社の株式を売却する可能性がある。ただ、買い手を見つけるのは難しいかもしれない。
清算後、清算人は中国本土の恒大子会社の代表を交代させることで、これら子会社を管理下に置くことができるが、数カ月もしくは数年かかる可能性がある。
仮に清算人が本土にプロジェクトを持つ子会社を管理下に置いたとしても、多くは既に債権者に差し押さえられたり、裁判所によって凍結されたりしているほか、不動産価格の下落で価値がほぼ失われているか、ネガティブエクイティに陥っているケースもある。
関連コンテンツ
PR
PR
PR