- 2024/01/16 掲載
信頼回復、一段と厳しく=ブランド毀損、新経営陣で立て直し―ダイハツ
ダイハツ工業による安全性能の認証試験不正は、国土交通省から「型式指定」の取り消し処分を受ける異例の事態に発展し、地に落ちた信頼の回復は一段と厳しくなった。本来衝突を検知して作動するエアバッグをタイマーで作動させる悪質な手口は「日本の製造業の信頼性に関わる大きな問題」(斉藤鉄夫国交相)。毀損(きそん)したブランド立て直しに向け、親会社のトヨタ自動車は、新たなダイハツ経営陣を1カ月後に公表する方針を打ち出した。
ダイハツの奥平総一郎社長は16日、国交省で記者団に対し、不正まん延の原因を「経営の問題。こなし得る仕事量に対し、過度に詰め過ぎた」と説明。「二度と同じ過ちを犯さないために、全力を尽くす」と強調した。トヨタの佐藤恒治社長も同日、東京都内で記者団に対し、1カ月後をめどに発表するダイハツの経営体制について「現状を前提に置かず考える」と述べ、抜本的な改革に取り組む考えを示した。
型式指定の取り消しを巡っては、2022年3月に日野自動車のトラックなどで初適用され、23年4月には豊田自動織機のフォークリフト用エンジンで取り消されるなど、トヨタグループ傘下で不正が相次いだ。トヨタのグループ統治体制も、問われている。
今回対象となったのは、ダイハツの小型商用車「グランマックス」と同社がOEM(相手先ブランドによる生産)供給するトヨタ向けの「タウンエース」、マツダ向けの「ボンゴ」の3車種のトラックタイプで、23年1~11月はそれぞれ約160台、約5000台、約1000台を販売。いずれもダイハツがインドネシアで生産し、輸入していた。出荷再開には型式の再取得が必要で、時間がかかる可能性もある。
国交省は、今回3車種の型式を取り消す一方、確認試験で安全性が認められた車種を月内にも公表する方針。国交省の判断を受けて、ダイハツは全面停止中の国内出荷を徐々に再開する方向とみられるが、具体的な日程は五里霧中だ。
【時事通信社】 〔写真説明〕ダイハツ工業の認証試験不正問題に関し、記者団の取材に応じるトヨタ自動車の佐藤恒治社長=16日午後、東京都文京区 〔写真説明〕ダイハツ工業の認証試験不正問題に関し、記者団の取材に応じるトヨタ自動車の佐藤恒治社長(中央奥)=16日午後、東京都文京区
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