- 2012/04/02 掲載
国内の多国籍企業、IT導入決定は日本本社のIS部門が主導 分野によって差異も
調査によれば、日系MNCにおけるICTインフラ導入の権限は、日本本社に所在する企業が多いが、サービス分野や意思決定プロセスによって差異が存在することが明らかになった。
国際間ネットワークサービスでは、意思決定プロセスのうち「起案」や「決裁」では日本本社のIS部門が主要な権限を持っているものの、「契約」や「運用」では現地法人の情報システム部門(以下、IS部門)に権限を付与する比率が高まる傾向にあった。これは、セキュリティシステムやビデオ会議においても同様の傾向が見られたという。
一方、ハードウェア(サーバ/ネットワーク機器など)は、「起案」や「決裁」についても、現地法人のIS部門に権限委譲されている企業が比較的多い傾向にあった。これは、関税や保守契約の関係から、現地で調達/契約するケースが多いことが背景にあると考えられるという。
IDCでは、将来的には、「起案」と「運用」における本社IS部門の権限を減らし、現地法人のIS部門や地域統括会社の権限を増やす傾向があるとしている。また、海外拠点の拡大に伴い、日本本社での起案や運用の業務は負担が重くなることから、できる限り現地側に委譲したいという考えがあると指摘している。

ICTインフラへの投資意向をサービス分野別にみると、すべての分野において、中国をはじめとするアジアでの投資を増加させる意向を持つ企業が多い傾向にあった。
同エリアにおける課題としては、IT要員不足、通信品質の低さ、国/地域ごとに異なる規制/ルールへの対応などが挙げられた。
「日系MNCは、組織/意思決定の特徴やICTに対する考え方から類型化した結果、5つのクラスターに分類された。海外拠点を中心とした案件の獲得を目指す事業者/ベンダーは、ターゲットの優先順位付けと提供体制の構築、次に起こり得る課題/ニーズを踏まえた提案、将来的に現地への権限委譲が進むと考えられる意思決定プロセス(起案、運用)に着目したアプローチを強化すべきである」(IDC Japan コミュニケーションズ リサーチ マネージャー 川上晶子氏)
今回の発表はIDCが発行したレポート「2011年国内多国籍企業の調達行動に関するユーザー調査:通信、マネージドサービスおよびネットワーク機器について」(J11680601)にその詳細が報告されている。
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