TCO削減の切り札! セキュリティ強化で終わらないシンクライアント活用術 ~クライアントを標準化/集中管理~
集中管理と標準化で運用負荷を抑えられるシンクライアント
弱点が克服されるにつれ、クライアント仮想化は「何かとトレードオフでセキュリティを高めるソリューション」から、「セキュリティ強化と共に生産性向上やTCO削減を図るソリューション」というように、セキュリティ強化以外にもさまざまなメリットがあることが徐々に浸透してきている。
そのメリットの中でもとくに、クライアント仮想化が持つ“集中管理”や“標準化”という側面から、管理/運用コスト削減の効果は大きいと言える。シンクライアントはその性質上、もともと管理負荷の少ない仕組みだ。端末に固有の情報をほとんど持たないため、故障したら機器を丸ごと交換すれば済む。業務に必要なアプリケーションやデータはサーバ側にあるため、機器を入れ替えて必要な設定を施すだけで、すぐにいつものデスクトップ環境に復旧できるのだ。壊れた機器についているケーブル類を外し、新しい機器につなぎ直すだけなので、機器の入れ替えに高度な技術も求められない。IT担当者がいないオフィスでも簡単にできる作業だ。代替機が届くまでに作業の空き時間を作りたくなければ、各オフィスに予備機を常備すれば済む。端末が安価になってきているので、担当者がいちいち出向いて修理する時間や費用を考えれば格段に低コストで業務を継続できる。
実際、クライアント仮想化によりTCO削減に成功した運送業のある大手企業では、かつては全国の事業所に展開する2,000台のパソコンの管理に20名のエンジニアを配し、メンテナンスのために全国を飛び回らせていた。クライアント仮想化ソリューションの導入後は、トラブルが発生したときは新しいシンクライアント端末を送って交換し、壊れた機器を回収するなどして、現地に出向かずにメンテナンス対応が可能になったため、出張はほとんどなくなったという。管理に当たるエンジニアも3名にまで削減でき、より生産性の高い業務にエンジニアリソースを割けるようになるなど、大きな効果を上げている。
簡単操作でUSBメモリにOSイメージをバックアップし
展開もできる「HP ThinState Capture」
例えば導入展開時に役立つ機能として「HP ThinState Capture」が用意されている。これは、USBメモリを使ってシンクライアント端末の設定済みOSイメージをコピーする機能だ。マスターとなる端末を1台だけ設定し、設定済みOSイメージをUSBメモリにコピーする。そのUSBメモリを使ってほかの端末を起動すれば、自動的にマスター端末と同じOSイメージが展開される。イメージの展開に必要な時間はたったの15分程で、すべて自動的に展開されるため専門知識は一切必要ない。これはシンクライアントの設定済みOSイメージバックアップとしても活用でき、とくにITの専門担当者が常駐していない小規模オフィスなどで真価を発揮する。シンクライアント端末の追加や故障による入れ替えが発生したとしても、USBメモリさえ常備していればユーザーが自分で導入時の初期OSイメージに戻せる。さらに「HP Easy Tools」を搭載したモデルを選択すれば、マスターとなる1台目の設定も簡単に行える。ウィザード形式の画面で必要情報を入力していくだけで、必要な設定を完了できるのだ。
運用負荷を軽減するシンクライアント一元管理ツール
「HP Device Manager」
HP Device ManagerはHP Device Manager サーバ、HP Device Managerゲートウェイ、HP Device Managerコンソールの3つのコンポーネントから構成されるが、これらすべてを1台のサーバにインストールして使用することが可能だ。ソフトウェア自体は無償で提供されており、データベースにはオープンソースのPostGreSQLを利用できるので、ハードウェアさえ用意できれば規模を問わず簡単に導入できるソリューションだ。HP Device Managerコンソールをインストールしておけば、管理者のパソコンから直接HP Device Managerにアクセスして管理作業を行うことも可能だ。
HP Device Managerを活用すると、シンクライアント端末の集中管理が簡単になる。例えば端末導入時には、マスターとなる端末からイメージを取得し、他の端末に配布して複製することで大量のシンクライアント端末にオンラインでイメージを展開できる。接続先設定もリモートで変更することができるので、サーバ側のシステムが更新され、シンクライアント端末を継続利用する場合にも、全端末の接続先設定を一括変更可能だ。また、クライアント仮想化技術の進歩によってシンクライアント端末のソフトウェアのバージョンアップが必要になった場合にも、端末へのファイル一括配布やレジストリ設定の一括変更、端末上でのコマンド実行などの機能によりアプリケーションを一括インストールすることもできる。
電源操作やVNCによるデスクトップ操作など
ユーザー端末の遠隔操作機能も充実
HP Device Managerでは、リモートでデバイスを操作することもできる。VNCを使って起動後のデバイスを操作できるだけではなく、電源のオン/オフ操作さえもリモートから管理可能だ。VNCによるデバイスの操作は、管理だけではなく障害対応やヘルプデスクを助ける機能でもある。ユーザーからの問い合わせに応じ、端末の画面や操作を共有しながら問題を解決できる。レポート機能が備わっているのも、HP Device Managerの特長だ。ネットワーク上のシンクライアントデバイスは自動的に検出され、画面上でリスト化される。デバイス資産情報を取得してCSVファイルとして出力できるので、資産管理台帳作成の一助にもなるだろう。
加えて、日常的な運用で発生するHP Device Manager上の定型作業は、あらかじめ作成しておいたルールタスクの設定によって自動化することも可能だ。日時や繰り返し設定によりルールタスクを自動実行できるので、例えばユーザーが少ない深夜に自動的にソフトウェアの更新作業を行える。スケジュール設定以外にも、「シンクライアント端末が初めて検出されたとき」、「シンクライアント端末が起動するごと」にルールタスクの自動実行ができるのも便利だ。ルールタスクでは指定した条件に適合したシンクライアント端末に対してのみタスクが実行させる事ができるので、端末が起動していなければできないファイル配布やパッチ適用などの細かいタスクも、自動化して管理を省力化できる。
~もう悩まない!デスクトップ仮想化をHPシンクライアントではじめよう~
日本HPではクライアント仮想化の最新情報や実際にシンクライアント端末に触れることもできるセミナーを毎月2回、開催している。興味を感じた読者はぜひ会場に足を運び、実際に触れて、シンクライアント端末の進化を感じてみていただきたい。