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  • 2016/01/01 掲載

今、ビジネスで選ぶべき薄型軽量スタンダードノートPCはどれ?

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拡張性や入力環境などの使い勝手を大きな犠牲にせず、持ち運びにも対応できる薄型軽量スタンダードノートPCは、さまざまな業務内容に臨機応変に対応できるため、ビジネスの現場で重宝する。実際、多くの企業がこのクラスのノートPCを採用している売れ筋のカテゴリだ。ここでは13型前後の画面サイズを搭載した光学ドライブ内蔵型モデルにフォーカスし、有名メーカー4社の製品を10項目で徹底的に比較した。

(製品比較の機種選定・比較は、ビジネス+IT編集部が実施しています)

ビジネスの現場への適応力に優れる薄型軽量スタンダードPC

 ビジネスで使うノートPCを選ぶとき、営業で外回りが多いなら薄さ・軽さの携帯性、オフィスでの作業性を重視するならキーボードの操作性や周辺機器との接続性、クリエイティブな作業ならパフォーマンスなど、それぞれ重視する要素は異なってくる。

 しかし、現実には、そのようにわかりやすく目的が定まる業務ばかりではない。「オフィスでの作業が多い時もあれば、外出先で作業する割合が多くなることもある」ということも珍しくないだろうし、特殊な業種や中小企業では、1人が関連性の深い複数の職種を兼務しているような場合もあるだろう。

 そういったビジネスの現場においては、ある程度の操作性や接続性を保ちながら、可能な範囲で薄型軽量化を図ったバランス型の製品、「薄型軽量スタンダードノートPC」が有力な選択肢として浮上する。薄型軽量化を進めながらも、パフォーマンスや入力環境、周辺機器との接続性などを割切っていないため、オフィスでも外出でも安定した生産性が期待でき、1台で幅広い職種や業務内容に対応できる適応力の高さが強みだ。

 新しいカテゴリというわけではないが、そのバランスゆえ、多くの企業がクライアントPCとして実際に採用するカテゴリでもある。また近年はプロセッサーをはじめとする半導体技術、機構設計技術ともに進化したことで、パフォーマンスやバッテリー駆動時間の底上げが進み、製品それぞれの魅力が増している。業務の効率化、オフィスの生産性向上も大いに期待できることだろう。

インテル最新の第6世代Coreプロセッサーモデルを含め、4社のPCで10番勝負

 薄型軽量スタンダードノートPCといってもさまざまな製品がある。どこまでの装備を必須条件と考えるかは状況によって変わってくるが、今回は、携帯性とともにビジネスの現場に幅広く対応できることを重要視し、13型前後の画面サイズ、光学ドライブ内蔵を条件に各メーカーの製品を集めた。

 ラインアップをメーカーの50音順で紹介すると、NECのVersa Pro タイプVC、東芝のdynabook R73、パナソニックのLet'snote CF-MX4、富士通のLIFEBOOK S935/Kの4製品だ。ビジネスの現場に導入するPCとしてどれが最も適切なのか、10個の項目から比較検証を行って明らかにしていきたい。

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 4製品のスペックは別掲の表にまとめた。BTOなどで統一できる部分は揃えているが、プロセッサーの世代が各社で異なっている点は興味深い。dynabook R73のみがインテル最新の第6世代Coreプロセッサーをいちはやく搭載している。この世代からはCPU、GPUとも内部構造を大きく改良し、性能向上と電力効率の改善を図っている点が特徴だ。

 一方、NECのVersa Pro タイプVCは、2015年5月発売モデルながら第4世代Coreプロセッサーを採用しており、これのみTDP37Wモデルを採用する(他はTDP15W)。TDPが高いほうが性能面では有利だが、ボディの薄型軽量化や長時間のバッテリー駆動にはTDPが低いほうが都合が良い。つまりは、パフォーマンスを優先して選択したと考えられ、設計思想の違いが表れている。なお、機材調達のタイミングの関係から記事掲載時点で販売終了モデルとなってしまったことをご容赦いただきたい。

 ちなみに、パナソニックには、Let'snote CF-MX5というLet'snote CF-MX4の後継モデルが存在するが、機材調達時点でWindows 10 Pro(64bit)プリインストールモデルしか用意されていなかったため、一般的な法人向けとしては時期尚早と判断し、見送った。今回の評価機のOSはすべてWindows 8.1 Pro(64bit)で統一している。

 評価においては、要素ごとに他の要素を考慮に入れず独立して評価し、後で総合的に評価する。また、計測結果については原則評価機の結果のみで採点することとする。たとえばバッテリー構成の違いなど、別構成であれば結果が好転することが推測される場合でも、参考までに言及はするが評価には組み入れない。たとえば大容量バッテリーなら、バッテリーでは有利だが、重量は不利になる。バッテリーでプラスに考慮するならば重量でマイナス考慮をしなければ不公平で、全要素でそのような利害関係の調整をしていてはキリがないためだ。

■基本スペック
基本スペックNEC
Versa Pro タイプVC
東芝
dynabook R73
パナソニック
Let'snote CF-MX4
富士通
LIFEBOOK S935/K
CPUCore i5-4310MCore i5-6300UCore i5-5300UCore i5-5300U
CPU開発コードネームHaswellSkylakeBroadwellBroadwell
CPU動作周波数(最大)2.7GHz(3.4GHz)2.4GHz(3GHz)2.3GHz(2.9GHz)2.3GHz(2.9GHz)
CPU TDP37W15W15W15W
メモリDDR3L-1600 シングルチャンネルDDR3L-1600 シングルチャンネルDDR3L-1600 デュアルチャンネルDDR3L-1600 デュアルチャンネル
メモリ容量4GB4GB4GB4GB
グラフィックス機能Intel HD Graphics 5500Intel HD Graphics 520Intel HD Graphics 5500Intel HD Graphics 5500
液晶ディスプレイ13.3型ノングレア 1600×900ドット13.3型ノングレア 1920×1080ドット12.5型ノングレア 1920×1080ドット13.3型ノングレア 1920×1080ドット
データストレージ128GB SSD128GB SSD128GB SSD128GB SSD
データストレージ型番SAMUSUNG MZ7LN128HCHPSAMUSUNG MZ7LF128HCHPSAMUSUNG MZNTE128HMGRSAMUSUNG MZ7LN128HCHP
OSWindows 8.1 Pro Update 64bitWindows 8.1 Pro Update 64bit (Windows 10 Proダウングレード)Windows 8.1 Pro Update 64bitWindows 8.1 Pro Update 64bit

■Versa Pro タイプVC
2015年5月発売モデルながら、あえて旧世代の第4世代CoreプロセッサーのTDP37Wモデルを採用したモバイルノートPC。掲載時点では販売終了モデルとなっているが。後継モデルはまだ登場していない。

■dynabook R73
第6世代Coreプロセッサー(開発コードネーム=Skylake)のTDP15Wモデルをいちはやく採用した光学ドライブ内蔵型の薄型軽量ノートPC。ヘアライン加工で仕上げたすっきりとしたフォルムも目を引く。最小重量約1.18kgの薄型軽量モデルと光学ドライブ内蔵の標準モデルが用意されており、後者を評価機としている。

■Let'snote CF-MX4
Let'snoteブランドには13型液晶ディスプレイ搭載モデルがないが、12.5型で光学ドライブを内蔵するこのモデルが今回設定した条件にもっとも近いということで選定した。液晶ディスプレイを回転させてタブレットスタイルでも使える2in1デバイスでもある。

■LIFEBOOK S935/K
本体側面に着脱式ベイを搭載し、さまざまな構成に対応可能なモバイルノートPC。今回は光学ドライブ搭載構成を前提にオーダーした。第5世代CoreプロセッサーのTDP15Wモデルを採用している。

1.パフォーマンス比較 ~PC作業の生産性が高いのは?~

 まず、ビジネスの生産性を左右するパフォーマンスを比較した。OS、アプリケーションがレスポンスよくキビキビと動作するかどうかは仕事の能率を大きく左右する。また、ビジネスといっても単にテキスト入力と表計算ができればいいという時代ではない。カメラを利用したビデオ会議などでは連続的な動画のエンコード/デコードが必要だし、プレゼンテーションやPR資料などでは写真やイラスト、時には動画などを使って効果的にピーアールする必要がある場合も少なくなく、求められるパフォーマンスも年々上昇傾向にある。

 ここでは4製品のスペックを改めて掲載するが、冒頭でも述べたように4製品でプロセッサーの世代とTDPが異なる点に注目だ。dynabook R73が第6世代Coreプロセッサー、LIFEBOOK S935/KとLet'snote CF-MX4はともに第5世代Coreプロセッサーで、TDPはいずれも15Wだ。Versa Pro タイプVCは第4世代Coreプロセッサーと旧世代ながらTDP37Wモデルを搭載する。

 基本的にTDPが高いほうが性能は有利だが、世代が新しくなるほどに電力あたりの性能も向上しており、特に最新の第6世代CoreプロセッサーはCPUコアの内部構造も大きく変わっているため世代ごとの差も気になるところだ。

 さて、テスト結果を見てみよう。CINEBENCH R15は、CPUの処理性能を見るテストだ。CPUスコアはマルチスレッドテストの結果で、写真や動画の編集などいわゆる「CPUパワーが必要な作業」の処理性能の目安になる。CPU(シングルコア)はシングルスレッドテストの結果で、OSの基本操作や古いアプリケーションの性能の目安になる。

比較1■パフォーマンス
パフォーマンスNEC
Versa Pro タイプVC
東芝
dynabook R73
パナソニック
Let'snote CF-MX4
富士通
LIFEBOOK S935/K
CINEBENCH R15
CPU327310266271
CPU(シングルコア)133121118119
PCMark 8 2.5.419
Work Accelerated 2.0 Score3843402440134025
Web Browsing – JunglePin(s)0.3290.3720.3310.33
Web Browsing – Amazonia(s)0.1350.1520.1350.135
Writing(s)3.674.124.354.26
Spreadsheet(s)5.963.413.773.83
Video Chat v2 / Video Chat Playback 1 v2(fps)30303030
Video Chat v2 / Video Chat encoding v2(ms)77.372.788.787.3
短評第4世代CoreプロセッサーのTDP37Wモデルを採用している。消費電力やバッテリー駆動時間では不利だが純粋なCPUパワーは新世代のTDP15Wモデルより上回る。ただ、メモリがシングルチャンネルであることや内蔵GPUの性能、特にGPGPU性能は第5世代以降で大きく改良されているため、PCMark8に見る総合的な性能では逆に見劣っている。いち早く第6世代Coreプロセッサーを採用しており、TDP15WながらCPUパワーは第4世代のTDP37Wモデルに迫る。PCMark8の表計算やビデオチャットのスコアに最新世代ならではの優位性が確認できる。Webブラウズのスコアがいまひとつふるわないのは、メモリが評価機構成(4GB)でシングルチャネルであることが影響していると思われる。LIFEBOOK S935/Kと同等のスペック構成であり、傾向もそれに準じている。第5世代CoreプロセッサーのTDP15Wモデルを採用している。第6世代や第4世代のTDP37Wモデルと比べるとCINEBENCHのCPUスコアやPCMark 8のビデオチャットテストで若干パワーの見劣りを感じるが、PCMark8の総合スコアは互角。メモリはデュアルチャンネルアクセスに対応しており、プロセッサーのポテンシャルは適切に発揮できているといえる。
点数9988

 CPUスコア、CPU(シングルコア)ともやはりTDP37Wモデルを採用するVersa Pro タイプVCがトップだ。CPUスコアではいちはやく第6世代Coreプロセッサーを採用したdynabook R73もかなり健闘しており、Versa Pro タイプVCと約5%差まで迫っている。第5世代の2台には約15%と大きな差をつけており、第6世代Coreプロセッサーを搭載している優位が大きいことが伺える。

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 PCMark 8はアプリケーションを実際に実行し、そのレスポンスタイムを元にスコアを出す。Workテストは、オフィスでの利用をシミュレートした内容だ。最近のWebブラウザやオフィスソフトはGPU性能をグラフ描画やアニメーション効果の描画に使うため、それを反映した内容となっているほか、ビデオチャットのシミュレーションテストでは、GPUに動画エンコード/デコード機能があれば、それを使うなど、現代のソフトウェア事情に合わせた内容で、CPUだけでなくGPUの性能や機能も反映される。

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 結果は、dynabook R73とLIFEBOOK S935/K、Let'snote CF-MX4が同じようなスコアだが、内訳を見ると少し異なる。第6世代Coreプロセッサーのdynabook R73は、表計算(Spreadsheet)、ビデオチャットの映像送信(Video Chat Encoding v2)では良いスコアが出ており、新世代のアドバンテージを感じさせる一方、比較的軽い処理のWebブラウズ(Web Browsing)で見劣っている。

 理由としては、このdynabook R73はメモリ4GB構成の場合、メモリアクセスがシングルチャンネルとなる。LIFEBOOK S935/KとLet'snote CF-MX4はデュアルチャンネルアクセスに対応しており、その部分が影響したと考えられる。dynabook R73も8GB構成ならデュアルチャンネル対応となるのだが、今回は4GBで統一しているため、評価には考慮しない。

 Versa Pro タイプVCは上記3台に少し見劣った。こちらもメモリはシングルチャンネルだが、Webブラウズ(Web Browsing )、テキスト編集(Writing)では良いスコアが出ている。これはTDP37Wで最大クロックが高いこともあるが、この2項目は画面の表示解像度が低いほうが有利な傾向があり、それも影響している。

 それでも全体のスコアが低いのは表計算(Spreadsheet)での見劣りが大きく、これはGPUの性能が影響したものだろう。第5世代Coreプロセッサー以降ではオフィスアプリケーションなどの汎用的なソフトでGPUのパワーを活用する「GPGPU」関連の機能が強化されているため、世代による違いが大きい。

 ビデオチャットの映像送信(Video Chat Encoding v2)はCPUパワーも必要だが、GPUの機能も積極的に使うため、第5世代Coreプロセッサーの2台には勝っているが第6世代Coreプロセッサーを搭載するdynabook R73には負けているという結果となっている。

 採点は、最新の第6世代Coreプロセッサーを搭載し、PCMark 8、CINEBENCHとも高いレベルのスコアをマークしたdynabook R73が9ポイント。第4世代ながらTDP37Wのプロセッサーを搭載し、CINEBENCHでトップスコアを出したVersa Pro タイプVCも同じく9ポイントとした。CINEBENCHで見劣りが大きい他の2台は7.5ポイントとした。

2.消費電力比較 ~効率よくパフォーマンスを発揮できるのは?~

 消費電力はエネルギーコストに直結する。東日本大震災以来、電力料金が上昇しており、企業にとってもPCの消費電力が低いことのメリットは大きい。ここでは各モデルのアイドル時と高負荷時(PCMark8実行時最大)のシステム全体の消費電力を測定した。

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 バッテリーが満充電未満の場合は充電にも電力を消費するため、測定時はバッテリーを満充電にした状態から行っている。液晶ディスプレイの輝度は最大だ。ワットチェッカーは、Electronic Educational Devices製の「Watts up? PRO」を利用している。また、参考までにエックスライトのi1 Display Proで測定した液晶ディスプレイの輝度も記載した(評価には考慮していない)。

 消費電力にはCPUのTDPが大きく関係するため、各製品が搭載するCPUのTDPも記載した。Versa Pro タイプVCのみTDP37WのCPUを搭載しているだけにかなり不利であることが予想される。TDP15WモデルはCPUにチップセットの機能も内蔵しているのに対し、37Wモデルはチップセットが別実装のため、その分の電力も加算される。

比較2■消費電力
消費電力NEC
Versa Pro タイプVC
東芝
dynabook R73
パナソニック
Let'snote CF-MX4
富士通
LIFEBOOK S935/K
アイドル時8.56.16.45.8
高負荷時(PCMark8時最大)55.322.329.326.4
CPUのTDP37W15W15W15W
チップセットのTDP2.7W0W(CPU内蔵)0W(CPU内蔵)0W(CPU内蔵)
測定輝度365cd/m2310cd/m2244cd/m2322cd/m2
短評アイドル時、高負荷時ともに高い。特に高負荷時の消費電力は大きく、TDP37WのCPUを搭載しているデメリットが出ている。アイドル時、高負荷時ともに優秀な結果。十分な輝度があり、第6世代Coreプロセッサー採用のアドバンテージが出ている。同じCPUを採用したLIFEBOOK S935/Kよりアイドル時高負荷時ともに少し高めだった。2in1でタッチパネルを搭載しているぶん若干不利もあると思われる。第5世代Coreプロセッサーを採用している。アイドル時は4機種中一番低い。高負荷時も低め。
点数41089

 第6世代Coreプロセッサーを搭載するdynabook R73が最も優秀だ。アイドル時は第5世代Coreプロセッサー搭載の2台とあまり変わらないものの、高負荷時は15%以上省電力であり、第5世代Coreプロセッサーの電力効率の高さが実証された形だ。逆に電力効率の悪さが感じられるのが、Versa Pro タイプVCだ。特に高負荷時はdynabook R73の2倍以上、電力にして33Wも大きく消費している。第4世代Coreプロセッサーと旧世代で、しかもTDP37Wモデルを採用する不利が表われてしまっている。

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 採点はdynabook R73が満点評価の10ポイント。第5世代Coreプロセッサー搭載のLIFEBOOK S935/Kが9ポイント。同じCPUを搭載するLet'snote CF-MX4はこれと比べるアイドル時と高負荷時とも見劣るため8ポイントとした。Versa Pro タイプVCは大きく割り引いた。

3.携帯性比較 ~サイズ、質量が小さくて持ち運びやすいのは?~

 薄型軽量スタンダードノートPCは携帯性を最優先にしたジャンルではないが、持ち運びを想定している以上、携帯性は重要な要素であることには違いがない。軽量であるほど体への負担が少なく都合が良いし、薄型であるほうがバッグの中での収まりが良く、持ち運びやすいといえる。今回集めた4製品それぞれのサイズと質量を表にまとめた。

比較3■携帯性
サイズ、重量NEC
Versa Pro タイプVC
東芝
dynabook R73
パナソニック
Let'snote CF-MX4
富士通
LIFEBOOK S935/K
サイズ(突起部含まず)316×229×29.8mm約316×229×17.2~21.4 mm(薄型軽量モデル)
約316×229×18.2~22.4mm(標準モデル)
301.4×210×21mm319×215×13.6~19.8mm (実質最厚部実測約28mm)
重量約1.24kg(最軽量時)
約1.32kg(M+光学ドライブ)
約1.453g(L+光学ドライブ)
約1.18kg(薄型軽量モデル)
約1.27kg(標準モデル)
約1.198kg(光学ドライブ標準搭載)約1.21kg(標準バッテリー)
約1.36kg(大容量バッテリー)
約1.44kg(大容量+ベイバッテリー)
非公開(大容量+光学ドライブ)
実測重量1297g(M+光学ドライブ)1260g(標準モデル)1185g1384g(大容量+光学ドライブ)
点数89107.5
※複数構成がある場合、評価機の仕様は太字

 スペック上、最薄なのはLIFEBOOK S935/Kだが、実物を見るとかなり厚みがある。底部のバッテリー収納部が大きく張り出しているにもかかわらず、突起部扱いとして本体サイズに含まれていないようだ。最厚部を実測すると約28mmもああった。大容量バッテリーと光学ドライブを搭載した評価機構成での正確な質量は公開されていないが、実測では1384gと4台中一番重かった。

 実質的な最薄最軽量は、Let'snote CF-MX4だ。全域厚さ21mmのスリムでフラットなフォルムで、バッグの中でもかさばることがなく、扱いやすい。質量も約1.198kg(実測1.185kg)と軽量だ。

 それに次ぐのがdynabook R73だ。18.2mmの最薄部は先端部のみでほぼフラットなフォルムだが、それでも22.4mmと十分スリムで扱いやすい。質量も約1.27kg(実測1.26kg)と比較的軽量だ。

 Versa Pro タイプVCは、明らかに厚みがある見た目だが、標準バッテリー搭載時の質量は約1.32kgと以外に軽量で、実測質量ではdynabook R73とわずかな差しかなかった。

 採点はLet'snote CF-MX4が10ポイント、dynabook R73が9ポイント、Versa Pro タイプVCを8ポイントとした。LIFEBOOK S935/KはVersa Pro タイプVCから0.5ポイントマイナスした。

■Versa Pro タイプVC
見るからに厚みがあるボディだが、質量は約1.32kgとそれほど重くはない。実測ではさらに軽く1.3kgを切っていた。実際に持ってみると空洞感(スカスカな感じ)があり、数字以上に軽く感じる。

■dynabook R73
18.2mmなのは先端部のみだが、最厚部でも22.4mmとスリムだ。ほぼフラットなフォルムで、バッグの中にも収まりやすい。光学ドライブを搭載しない薄型軽量モデル(最厚部21.4mm、質量約1.18kg)も用意されている。

■Let'snote CF-MX4
今回集めた4製品の中では実質最薄で最軽量。スリムでフラットでバッグなどにもおさまりやすい。液晶ディスプレイのサイズが12.5型と小さいため、フットプリントも少し小さい。

■LIFEBOOK S935/K
くさび型のフォルムを採用する。公称の厚みは最厚部19.8mmだが、後部のバッテリー収納部が大きく張りだしており、実測値(約28mm)とかなり開きがある。大容量バッテリーを搭載していることもあり、質量は4製品中でもっとも重い。なお、標準バッテリーを選択した場合は150gほど軽くなるが、サイズは変わらない。

4.ACアダプター比較 ~携帯しやすく接続しやすいのは?~

 モバイルPCのバッテリー駆動時間が底上げされた近年では、日常業務においては外出時でもACアダプターの携帯は必須とはいえない。それでもACアダプターが重要でないかと言えば、そんなことはない。出張時などを考慮すればやはり小型(薄型)で軽量のほうが良いに越したことはないし、ACアダプターのコネクタ部分、接続するボディ側のDC入力コネクタの位置などは、机上での使用感に大きな影響がある。

 オフィスのデスクでは基本的にACアダプターをつけたまま利用することが多くなると思われるが、ボディの手前側にDC入力コネクタがあるとケーブルが手に触れやすいため、できるだけ奥側にあるのが望ましい。また、ボディにDCケーブルのコネクタ部分はできるだけ短いほうが望ましい。DCコネクタに差し込んだ状態でボディから張りだす部分が大きいとそのぶんスペースが無駄になり、見た目の印象も良くない。そういう部分も調査している。

比較4■ACアダプター
ACアダプターNEC
Versa Pro タイプVC
東芝
dynabook R73
パナソニック
Let'snote CF-MX4
富士通
LIFEBOOK S935/K
実測サイズ(突起部含む)45×106(117)×29mm35×89(119)×27mm34×90(100)×28mm32×135(143)×28mm
実測重量(ACケーブルのぞく)283g(232g)199g(139g)238g(176g)232g(182g)
AC入力100V~240V100V~240V100V~240V100V~240V
ACケーブル2ピン2ピン2ピン2ピン
出力仕様65W(20V/3.25A)45W(19V/2.37A)45W(16V/2.8A)65W(19V/3.42A)
DCコネクタ(PCからの張り出し)角型独自形状(約38mm)丸型(約18mm)丸形(約22mm)丸形(約22mm)
DCコネクタ位置左側面奥左側面奥右側面奥左側面奥
点数71098

 携帯性の面ではdynabook R73がもっとも優秀で、質量はケーブル込みで199gと、次点のLIFEBOOK S935/Kより33gも軽かった。サイズも少し突起部が大きいものの最小だ。Let'snote CF-MX4とLIFEBOOK S935/Kは重さはほぼ同じだが、後者は出力仕様が65Wであることもあって、サイズが大きい。おそらく他製品とACアダプターを共通で使えるようにしているためだろう。Versa Pro タイプVCも65W仕様でサイズが大きめで、質量がさらに重い。こちらは第4世代CoreプロセッサーのTDP37Wモデルを搭載しており、消費電力が大きいためだろう。


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 なお、Let'snote CF-MX4はウォールマウントプラグ(質量約20g)も同梱しており、ACケーブルに替えてこれを利用するとほぼdynabook R73とほぼ同じ重さとなる。ただ、ACアダプタ本体をコンセントに直結する形になるためコンセント部分にスペースが必要で、コンセント周囲の形状によっては使えない可能性もあり、携帯性がdynabook R73と同等だと評価することはできない。

 DCコネクタの配置はどの製品もボディの奥にあり、煩わしい印象は少ない。コネクタの張り出しはdynabook R73がもっとも短く、約18mm。LIFEBOOK S935/K、Let'snote CF-MX4も約22mmと短い。Versa Pro タイプVCは約38mmと少し長めでこれは少しマイナスが必要だろう。

 採点はdynabook R73が満点評価の10ポイント。Let'snote CF-MX4、LIFEBOOK S935/K、Versa Pro タイプVCの順で1ポイントずつマイナスした。

■Versa Pro タイプVC
出力仕様65Wで、少し大きめで質量も重い。消費電力が大きいTDP37WのCPUを搭載している不利が出ている。DCコネクタはボディ左奥と位置的には問題ないが、、コネクタを装着した時の張り出しが少し大きく(約38mm)気になる。

■dynabook R73
出力仕様は45Wで、ノートPCとしては非常にコンパクトなACアダプターが付属する。質量も4製品中最軽量(ケーブル込み199g)と携帯性に優れ、コネクタ部の張り出しも最小で運用時の省スペース性も優秀だ。

■Let'snote CF-MX4
質量の軽い順では4製品中3番手となるが、LIFEBOOK S935/Kとは差がない。最軽量ではないものの、サイズ、コネクタの形状、いずれもソツのない仕様といえる。ACケーブルのほか、ウォールマウントプラグ(約20g)も付属する。

■LIFEBOOK S935/K
ケーブル込みの質量は232gで、4製品中2番目に軽い。スティック型のフォルムだが、出力仕様が65Wと大きいこともあって長さがかなりあり、扱いやすさはいまひとつだ。

5.バッテリー比較 ~長持ちして外出先でも安心なのは?~

 外出先で頻繁にコンセントを探すのは大変だし、場合によっては見つからないケースもある。また、ACアダプターを携帯していないときに業務を継続できるかという点でも、バッテリー駆動時間は長いほうが望ましい。ここではバッテリーについて調査した。ビジネスでの運用を想定すると、ユーザーが容易に着脱できるかどうかも見逃せない。着脱可能であれば、スペアを持ち歩いたり、故障や劣化の際に最小限のダウンタイムで対応できるメリットがある。そうした運用の柔軟さという点も調査項目に加えている。

 なお、搭載バッテリーが選べる場合は、それも参考までに記載している。今回、LIFEBOOK S935/Kの評価機のみ大容量バッテリーを搭載している。標準バッテリーの容量が少なすぎるため、光学ドライブ内蔵を前提とすればこれが事実上標準構成といえるだろう。

 バッテリーの容量については、公称値のほかに、Windowsのバッテリーレポートコマンドを利用して測定している。「デザイン容量」はバッテリーの設計容量を示す。「フルチャージ容量」は、バッテリー固体の満充電容量であり、評価機によっても多少変わる。今回の4製品は、公称値とほぼ同じ容量だった。

 実際の駆動時間は、バッテリーベンチマークのフリーソフト「bbench1.01」を利用して測定している。無線LANで常時接続して、Webページを60秒間隔で10サイト巡回、10秒間隔でキーストロークを行う内容で測定した。数値は残量5%になるまでの時間だ。電源プランはすべて「バランス」、ディスプレイの輝度40%、明るさの自動調整機能もすべてオフとした。

比較5■バッテリー
バッテリーNEC
Versa Pro タイプVC
東芝
dynabook R73
パナソニック
Let'snote CF-MX4
富士通
LIFEBOOK S935/K
バッテリー容量(デザイン)33.156Wh44.4Wh48.03Wh(32.83+15.2)76.88Wh
バッテリー容量(フルチャージ)32.465Wh43.867Wh47.9Wh(32.7+15.2)75.848Wh
バッテリー容量(公称値)非公開非公開48Wh(定格45.6Wh)24Wh、77Wh(大容量)、28Wh(ベイ)
公称バッテリー充電時間 (電源オン時)約3.5時間(M)
約3.7時間(L)
約3.5~10時間約4時間非公開
公称バッテリー充電時間 (電源オフ時)約3.5時間(M、L)約3.5時間約4時間約2.4時間(標準) 約4.5時間(標準+ベイ)
公称バッテリー駆動時間 (JEITA 2.0)約4.9時間(M)
約9.9時間(L)
約14時間約11.5時間約4.9時間(標準)
約15.8時間(大容量)
約20.1時間(大容量+ベイ)
bbench 1.01の結果253分(4時間13分)597分(9時間57分)602分(10時間2分)1048分(17時間28分)
外部から着脱可能の可否着脱可能(底部背面側)着脱可能(底部背面側)着脱可能(底部背面側)着脱可能(底部背面側)
短評公称値どおり、実測のバッテリー時間も短い。TDP37WのCPUを採用している不利が出ている。重さが1.453kgになるが、Lバッテリーなら実用的な駆動時間が確保できると思われる。公称値とは差があるが、バッテリー容量からすれば妥当な値。第5世代Coreプロセッサー搭載モバイルノートPCとして(高レベルでの)標準的な駆動時間。内蔵バッテリーのほかにホットスワップ可能な着脱バッテリーを搭載しており、柔軟な運用ができる。唯一大容量バッテリーを搭載しているが、標準バッテリーが少なすぎるため、光学ドライブ内蔵を前提とすればこれが事実上標準構成だろう。容量どおり長時間の駆動を実証している。
点数49.51010
※bbenchの設定:バランス、ディスプレイの輝度40%、自動調整オフ、Bluetoothオン、無線LANで常時接続。Web巡回60秒間隔、キーストローク10秒間隔 ※複数構成がある場合、評価機の仕様は太字

 調査結果だが、4製品ともさすがにビジネス向け製品だけにバッテリーの着脱は容易に可能な仕様となっており、柔軟な運用が可能だ。特にLet'snote CF-MX4は着脱可能バッテリー(約33Wh)のほかに内蔵用バッテリー(約15Wh)も装備しており、ホットスワップを可能としている。他にはないアドバンテージといえるだろう。

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 実測の駆動時間が長かったのは、大容量バッテリーを搭載するLIFEBOOK S935/Kで、フルチャージ容量約76Whに対し、17時間28分の駆動時間と公称(約15.8時間)を上回る長時間駆動だった。Let'snote CF-MX4とdynabook R73はバッテリー容量実際の駆動時間とも近く10時間前後動作した。Versa Pro タイプVCは実測4時間13分と大きく見劣った。大容量バッテリーを搭載したとしても単純計算では10時間に届かず、第4世代CoreプロセッサーのTDP37Wモデルを採用しているデメリットがここでも出ている。

 駆動時間の数字だけで相対評価するなら大容量バッテリーを搭載するLIFEBOOK S935/Kがダントツになってしまうが、運用上メリットの差がそこまであるわけではないことは明白だ。標準ビジネスタイムの8時間を余裕をもってカバーできる10時間を実測で駆動できれば、90~95%のユースケースはカバーできるのではないだろうか。

 というわけで、LIFEBOOK S935/Kが10ポイントの満点評価は当然として、実測10時間前後の駆動時間ができるLet'snote CF-MX4とdynabook R73も、駆動時間の評価として9.5ポイントずつ与えて良いだろう。Let'snote CF-MX4はホットスワップ可能な点を優位点と加えて10ポイントとした。Versa Pro タイプVCは大きく割引が妥当だろう。

■Versa Pro タイプVC
底部背面側に着脱可能なバッテリーを搭載している。標準のMバッテリーは容量が約33Whと小さめで、公称駆動時間も約4.9時間と短い。実測でも4時間13分にとどまっており、やはりTDP37Wの第4世代Coreプロセッサーを搭載している不利が出ている。2倍の容量を持つLバッテリーも用意されている(装着時重量は約1.453kgとなる)。

■dynabook R73
底部背面側に着脱可能なバッテリーを搭載する。バッテリー容量は44Whと13型クラスのモバイル系ノートPCとしては標準的だろう。実測値は9時間57分で、公称駆動時間約14時間と比べると短いものの、十分な駆動時間といえる。

■Let'snote CF-MX4
着脱可能バッテリー(約33Wh)のほかに内蔵用バッテリー(約15Wh)も装備しており、電源をいれたままバッテリーの入れ替えを可能としている。2つのバッテリーの合計容量は約48Whで、実測でも約10時間動作した。

■LIFEBOOK S935/K
底部背面側に着脱可能なバッテリーを搭載しており、標準(24Wh)と大容量(77Wh)が選べるほか、光学ドライブと排他でベイバッテリー(28Wh)も搭載できる。今回は光学ドライブ+大容量バッテリー構成で評価した。77Whと大容量だけに実測でも17時間と長時間駆動した。

【次ページ】 10番勝負後半戦! 総合結果でトップに輝き、最もオススメできる製品は…?

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