- 2024/12/17 掲載
軽商用EVに見るホンダの「超本気」EVシフト、三菱商事との協業に潜む「狙い」とは(3/3)
三菱商事との「新会社」設立は何を意味する?
N-VAN e:に関連して、ホンダは新たなビジネスの展開も始めている。同社は今年7月、EV利用コストの最適化/バッテリーの価値向上と資源循環/系統用蓄電池の調整などを事業内容とした新会社ALTNA(オルタナ)を三菱商事と設立した。
オルタナが手掛ける事業の1つがバッテリーのリース事業だ。
両社の発表によると、ホンダおよび三菱商事の関連リース会社が車両リースを行う際、EVバッテリーの所有権をオルタナが持ち、バッテリー使用状況をもモニタリングすることで、中古車になってもバッテリーを有効活用できるよう管理したり、車載利用期間の終了後に系統用蓄電池への再利用につなげたりするという。
リース契約によって、再利用のための中古バッテリーの確保がより確実になる。EV利用時の電力料金を最適化する充電管理や、VtoGのような電力需給の調整といった事業への足掛かりにもなるだろう。
同様の取り組みや試行錯誤は、2010年に初代リーフを発売した日産がすでに手掛けている。そこにホンダと三菱商事が目を向けたことは、N-VAN e:の販売を後押しし、ホンダの次期EVの拡販にもつながるだろう。
このほかにもオルタナは今月10日、ホンダやMCリテールエナジーなどとともに、充電を自動で最適化する「スマート充電」に関する実証を開始したことも発表している。ホンダは2040年までに新車販売の車種をすべてEVとFCV(燃料電池車)にする目標を2021年に掲げているが、その本気度が、これらの新事業からも見えてくる。
補助金の活用があるとはいえ、原価に厳しい商用の軽自動車でエンジン車との差額を圧縮し、加えて、乗用車のような快適な乗り心地と走行性能を備えたN-VAN e:。EV普及においてどんな役割を果たすのか、注目していきたい。
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