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- 2024/10/29 掲載
なぜ政府は「原発」にこだわるのか?推進の背景と電力需要増加の「真実」
連載:「エネルギーの疑問にお答えします。」
「原発が必要」とする政府の根拠は「電力不足」
政府の進める脱炭素政策は、GXを冠することが多く、簡単にいえば、温暖化防止と同時に経済拡大も目指すものである。現在これをまとめるのが、経済産業大臣を中心とする「GX実行会議」である。一方、具体的な脱炭素に向けてのエネルギー政策、特に電源を検討し、第7次エネルギー基本計画を作るのが、経済産業省の審議会「総合資源エネルギー調査会 基本政策分科会」である。
最近の資料では、原発推進に関わるものが目立つ。はやりのデータは、「AI、データセンターの拡大による電力需要の大幅増加」で、資料の冒頭に示されることが多い。
図1の右のグラフでは、2050年に向けて、35~50%もの国内発電電力量が増加すると予想されている。経済産業省が所管する研究機関がまとめたものであるが、注釈として、「生成AI等DXによる増加?」とある。ハテナしるしがついて、確証を示しているわけでもない。
図1の左のグラフは、今後10年の需要電力量の見通しだ。青い実線(データセンターなどの増加分)の需要が上昇するカーブは、右のカーブに似ている。
こうして、生成AIやデータセンターなどデジタル化の結果、日本の電力需要は大幅に拡大するという結論に導かれる。そして「足りなくなる電力を原発でまかなう」とつながる。
しかし、左のグラフの縦軸の0kWhから7600億kWhは省かれていて、変化を大きく見せている(注:分かりやすくする手法として一般的ではある)。実際の数値は、コロナで落ち込んだ2020年の実績と比べせいぜい200億kWh増加であり、計算すると2.5%の上昇でしかない。
電気は本当に足りなくなるのか
電気は本当に足りなくなるのだろうか。図2は、電力需要の見通しについていくつかの研究機関が出した数字をまとめたものである。関連コンテンツ
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