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ベネッセの情報漏えい事件が与えたインパクトと事件後の同社のセキュリティ対策
その結果、同社は3期連続の減収減益となり、2016年6月、原田会長兼社長の退任が発表された。ただ、件数だけではなく、漏えいの中身も冷静に見る必要があるのではないかと、上原教授は指摘する。
「件数が多かったことが注目を集めた1つの原因だったと思いますが、漏えいした情報はDMで利用される住所や氏名であり、同社が持つ会員の成績データほど機微姓は高くありません。その視点で見ると、プライバシーインパクトとしては、それほど大きくなかったという見方もできます」
確かに情報漏えいのインパクトは本来、件数だけはなく漏えいした情報の中身も加味して検討することが重要だ。こうした議論も受けて、2015年9月に改正された新しい個人情報保護法では、個人情報の中でも特に配慮が必要な「要配慮個人情報」が新たに定義されている。上原教授も「要配慮個人情報により、少しメリハリがついてくるとは思いますが、浸透するまでにはまだ時間がかかるでしょう」と指摘する。
ベネッセの事件では、外部からの攻撃にはそれなりに対応していたものの、業務委託先の契約社員によって情報が持ち出される「内部不正」が原因だったことも注目された。ただ、その後のベネッセのセキュリティ面での対応には学ぶべき点も多いという。
「事件後、情報セキュリティ企業のラックと合弁で新しい会社を設立し、個人情報を守る非常に堅固なシステムを構築しました。4段階の物理的ゾーニングを行い、トップレベルのマスターデータベースがある部屋はガラス張りで、生体認証とICカードの認証が通らないと入室できません。その前段階にはボディチェックがあり、その手前ではミリ波によるボディスキャナでUSBメモリやSDカードの有無をチェックされます。しかも、出入り口には警備員2名が常駐する念の入れようです。さらに興味深いのは、その仕組みを見学できるように公開している点です。ここまでレベルの高い環境で個人情報を扱っている企業は、他にはなかなか見当たらないでしょう」
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