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2022年4月、アフラック生命保険(以下、アフラック)は保険商品の販売代理店やビジネスパートナー、お客さまなどに向けて提供していたすべてのデジタルサービスを1つのクラウドサービスプラットフォームとして束ね、新サービス『ADaaS/Aflac Digital as a Service』として提供を開始した。保険会社が提供するサービスを必要なときに必要なだけ利用できるようになることから、販売代理店などをはじめとしたユーザーの利便性向上につながることが期待されている。保険業界ではかなりユニークな取り組みだが、同社の競争力アップに貢献するのだろうか。お聞きしたのは、デリバリーコーディネーション部長の鍵谷圭二郎氏だ。
新サービス『ADaaS/Aflac Digital as a Service』とは
アフラックが2022年4月に発表した新サービス『ADaaS/Aflac Digital as a Service』(以下、ADaaS)は同社のDX戦略を象徴するものと言えるだろう。
ADaaSとは、保険商品の販売代理店やビジネスパートナー、お客さまなど、これまでそれぞれに対して個別に提供していたデジタルサービスを1つにまとめたクラウド型のデジタルサービスプラットフォームだ。1つにまとめることで、利用者はサービスメニューから利用したいサービスだけを選択して利用できるようになる。ユーザー体験の向上に加え、販売代理店やビジネスパートナーの営業活動を支援する狙いがある。
ADaaSと命名されたのは、サービスの根底にSaaSと共通する発想があるからだ。鍵谷氏はこう語った。
「これまではお客さまや販売代理店に対して、一律のサービスをパッケージとして提供することが多くありました。しかし、お客さまも販売代理店もそれぞれが抱えている課題はさまざまです。必要なときに必要なサービスだけを使いたいというご要望に応えたいと思い、『ADaaS/Aflac Digital as a Service』という名前にしました」(鍵谷氏)
ADaaSの主要サービスには、「オンライン相談」「営業サポートAI」「募集人育成AI」「アフラックミラー(店舗用)(自宅用)」「ARチラシ/AR名刺」「デジタルほけんショップ」などのサービスがラインナップされており、利用者は自らのニーズに合わせて好きなサービスだけを利用できるようになる。
このサービスの根底にあるのは「お客さま・ビジネスパートナー・社員・株主・社会」という5大ステークホルダーの期待に応えるということにある。鍵谷氏はこう説明する。
「ADaaSの中には、保険の相談・手続きをオンラインで完結する『オンライン相談サービス』のように、2021年から提供しているサービスもいくつか含まれています。これまでに開発してきたサービスも、新たに開発するサービスも、使いたいサービスを使ってくださいという発想のもと、ADaaSという名称でプロモーションし、活用を推進しています」(鍵谷氏)
販売代理店の“営業力アップ”を実現できるワケ
ここからはADaaSのサービスの具体例を挙げながら、サービス内容や開発の背景について、解説していく。ADaaSのサービスの1つである「募集人育成AI」は販売代理店での活用を想定して開発されたサービスである。
「これまで販売代理店における募集人のトレーニングを行う場合、どこかに集合して、お互いの顔を見ながらロールプレイングやグループワークを行っていました。『募集人育成AI』はお客さま役をAIが代替し、実際に目の前にお客さまがいるかのような状態でロールプレイングができる仕組みです」(鍵谷氏)
募集人とAIとが会話をすることによって、募集人の教育機会を創出する。さらに評価や指導の均質化や省人化を実現しているのだ。新規募集人の早期戦力化や販売代理店の新規募集人の受け入れキャパシティーの増加も期待できる。鍵谷氏はこう説明する。
「トレーニングするだけでなく、トレーニングがどれくらい実施されているか、結果がどうなっているかを確認できる管理者側の機能も備えることによって、募集人の応対品質の向上を目指しています」(鍵谷氏)
「募集人育成AI」が募集人の応対品質を向上させるためのトレーニングをサポートするのに対して、「営業サポートAI」はオンライン相談時の営業活動をサポートするサービスである。鍵谷氏はこのサービスについてこう語っている。
「営業サポートAI」はオンライン相談時の営業活動をサポートするサービス
「『営業サポートAI』は販売代理店の募集人がオンライン相談を実施する際に、『このお客さまにはこのサービスがおすすめです』『次はこういった質問をすると良い』といったレコメンドを手元のPC・タブレットに表示する機能を備えたものです。お客さまと募集人の会話をもとにAIがリアルタイムに判断し、最適な話法や資材を提示することで、安定した募集品質を維持するサービスです」(鍵谷氏)
このAIの機能は、コンタクトセンターや熟練した募集人の営業ノウハウをモデル化したものをベースに開発している。「このサービスも当社のアジャイルチームが開発したもので、現在も改善しつづけています」(鍵谷氏)。
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