メリット2　若年層の投票率増加

　下のグラフを見てみると、投票率が下がる選挙では、全ての年齢層において投票率が下がっていることがわかる。そして、低下率を見ると若年層ほど大きくなっている。一方、投票率が上がるときは、若年層ほど投票率が上がっている。

　このように、若年層の投票率は、盛り上がれば上がり、盛り上がらなければ下がるということになる。つまり、若年層の投票を促すためには、選挙を盛り上げることが大切だということがわかる。



　その中で、ネット選挙運動最大のメリットともいえるのが、投票率の低い若年層へのアピールだ。

　若年層は、正直新聞を読んでいない。藤末は、早稲田大学で講義を行なっていたが、その時、「新聞を読んでいる人、手を上げて」というと、70人くらいいた学生のうち、2人くらいしか手が上がらなかったのだ。ただ、ニュースを見てないわけではない。多くの学生がネットでニュースを読んでおり、「ネットでただで読めるものに、なぜお金を払って新聞を買わなければならないのか？」というのが学生たちの正直な気持ちであろう。

　このように若い人は、新聞などの既存のメディアよりも、ネットや携帯電話から情報を得ている。下のグラフのように若い人ほど、ネットから情報を得るようになっているのである。

　つまり、ネット選挙運動の解禁により「ネットを使った選挙の盛り上げ」ができれば、若年層の投票率を大きく上げることができるであろう。ネットで交渉が情報発信をするだけでなく、第三者が「投票に行こう運動」、「政治家・候補者の公正な評価サイト」、「ネット上での公開討論会」などを仕掛けることにより「盛り上げること」が重要なのだ。



　なお、ネットでは、候補者の過去の言動や活動も検索ひとつで見ることができる。若い人たちが政治と選挙に関心を持ち、候補者の政治姿勢がぶれていないかなどのチェックも格段にしやすくなる。そして、ネット上の情報は、文字だけでなく、画像・音声・動画など様々な情報を使えるいわゆる「マルチメディア」である。文字だけでなく、動画で候補者が政策や熱い思いを伝えることができれば、ビデオ・ゲームなどに親しんだ若者はより政治と選挙に関心を持てるようになるであろう。

　また、ネットは、リアルタイムで情報を有権者に届けることができる。例えば、選挙期間中にどこでいつから街頭演説をするかなどを例えばtwitterやLineで発信することができるし、また、ネットに書かれた質問にもリアルタイムで回答することができる。昨年の韓国大統領選挙では、カカオトークやtwitterで街頭演説の時間を告知し、若い有権者に参加を呼びかけている。

　加えて、ネットは、場所も選ばない。藤末は、2010年の参議院選挙前にネット上で公開討論会を開いた。このネット討論会は平日の昼間に行ったが、2万人近い視聴者を得ることができた。ネット上でなくリアルで開催したら巨大なアリーナを借りなければできないような公開討論会を開くことができたのだ。それもほとんどタダで開催できるのだ。

　このようにネットを活用すれば、時間と空間、そしてお金の制約を受けずに、特に若い有権者とコミュニケーションできるのである。

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