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英仏、シンガポールと並ぶ世界3大航空ショーと言われる第18回ドバイ航空ショーが、11月13日~17日まで、5日の会期を終え閉幕した。注目のボーイングとエアバスの受注競争はボーイングの圧勝。世界最大級の見本市として盛大に開催されたにも関わらず、日本からの出展は少なく、自衛隊、
川崎重工業、スタートアップのナブラモビリティにとどまった。出展した3団体への取材を交え、同ショーを振り返る。
ドバイ航空ショーで展示された次世代担う注目の3機種
2023年11月13日~17日に開催された第18回ドバイ航空ショーは、20カ国がパビリオンを構え、95カ国以上から80の新興企業を含む1400を超える団体が出展した。190を超える航空機が地上展示、毎日10以上の航空機が飛行展示を行った。
展示機のうち、筆者が選んだ特徴ある3社の機体を紹介したい。
1つ目はカタール航空が展示させた、エアバスA350-1000、ボーイング787-9、ガルフストリームG650ERの3機種。アラブ首長国連邦(UAE)とカタールの国交断絶が解け、6月から相互に大使館業務が再開したことから、両国の友好の証しとして航空機が並んだものと思われる。
2つ目は、ビッグツインと呼ばれるボーイング777-300ERSF。従来の777Fよりも20%搭載量が増えた世界最大の双発貨物機である。コロナ禍において航空貨物業務の重要性が見直されたことから、大型貨物機が並んだのだ。イスラエルのイスラエル・エアロスペース・インダストリーズとアイルランドのエアキャップが共同で地上展示させていた。
3つ目は、モルディブを拠点とする航空会社の「ビヨンド」が展示させた、オールプレミアムクラスのエアバスA319。
最大で156席配置できる機体に44席のプレミアムシートを配置。コロナ禍で控えた人々の旅行熱は、一部高級志向に向かっており、ラグジュアリートラベルが注目される。将来は、A321シリーズの機体で東京への就航も考えられている。
航空機材の受発注の結果はボーイングの圧勝
航空機材の受発注については、中東、欧米、アフリカの航空会社からの発注が堅調だった。今年のドバイ航空ショーでは3つの大きな傾向が表れている。
まず1つ目は、メーカーの偏りだ。ボーイングの受注機数がエアバスの3倍以上にもなったのだ。
要因としては、エアバス機に装着されたエンジンの問題により、地上に留め置かれる機材が世界中で発生したことがある。また、ボーイング737Maxの設計改修が終了し、世界で運航再開になったことと、ボーイング777Xの型式証明取得にめどがついたことも要因である。
2つ目は、地域の偏りだ。地元中東とアフリカからの受発注が多いのは例年通りであるが、今年は欧米も含まれた。一方、アジアとオセアニアの航空会社からは皆無であった。
3つ目は、ワイドボディ機材の発注比率が高かったことだ。世界の旅客機機体数は、ナローボディ機がワイドボディ機の4倍以上になる。LCCも含めて、近・中距離路線の需要が格段に多いからだ。それが、同ショーではそれぞれが半数という結果となった。以下はその詳細だ。
この傾向は珍しいと言える。3年以上のコロナ禍で、航空機の買い控えが発生し、ワイドボディ機の保管や売却を余儀なくされた航空会社は多い。コロナ収束の傾向の中、長距離移動の需要回復が予測よりも早く、ワイドボディ機の需要があり、その傾向が発注にも現れたと思える。
【次ページ】日本から出展の3団体、自衛隊・川崎重工業・ナブラモビリティを取材
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