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  • 2020/11/12 掲載

ビットコインはメインストリームになるか? 「ペイパル」「スクエア」の暗号資産戦略を解説

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大手決済事業者のペイパルがこの2020年10月、暗号資産事業への参入したが、この参入はどのようなインパクトを持っているのか。同じく大手決済事業者でビットコイン事業で収益を上げているスクエアと比較しながら、ビットコインなど暗号資産のプレゼンスについて予測します。
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ビットコインはメインストリームになるか?
(Photo/Getty Images)

ペイパルが暗号資産事業に参入したワケ

 米国の決済大手事業者であるペイパルは、2020年10月21日に暗号資産事業への参入を発表しました。同社の発表によると、米国のペイパルユーザーは暗号資産の売買が可能となり、ペイパルアカウントに暗号資産を保管できるようになります。また、保管した暗号資産を法定通貨にシームレスに変換して2,800万のペイパル加盟店での決済にも利用可能になるとしています。

 さらにユーザーは、ペイパルアプリに設置された”Cryptocurrencies Hub”で暗号資産を売買できます(購入可能な暗号資産は週あたり上限1万ドル、年間上限5万ドルという制限あり)。なお今後は上限金額を引き上げ、2021年には米国外の市場と、同社傘下のモバイル決済サービスであるベンモでも暗号資産の売買が可能となるようです。

 ペイパルのCEOであるダン・シュールマン氏はプレスリリースの中で「通貨のデジタル形式への移行は不可避であり、金融包摂とアクセスの点で明らかな利点をもたらす。たとえば決済システムの効率性、スピード、政府が市民に迅速に資金を支払う能力などだ」と述べています。

 さらには「我々は、世界中の中央銀行や規制当局と協力し、グローバルな金融とコマースの未来においてデジタル通貨が果たす役割の形成に貢献していく」とも述べており、デジタル通貨に対する同社の並々ならぬ意欲がうかがえます。

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ペイパルアプリのCryptocurrencies Hub
(出典:Paypal 報道発表


ペイパルが定めた「暗号資産の利用制限」が喜ばれる理由

 しかし、ペイパルアプリで暗号資産を保有しても、現時点では暗号資産を他人に送ったり、暗号資産で直接サービスや商品を買ったりすることはできないようです。

 購入した暗号資産を外部のウォレットに取り出すこともできません。暗号資産のブロックチェーンが分岐(“フォーク”と呼ばれる)して新たな暗号資産が誕生してもそれらはサポート外となっています。

 これは、一般の暗号資産取引所で可能な操作と比較すると、かなり制限されているといえます。

 通常、暗号資産取引所で口座を開いて法定通貨を入金し、暗号資産を購入したあとは外部のウォレットに引き出して自由に送金することが可能です。ただしその場合、ウォレットの秘密鍵(暗号資産を保持する鍵)の管理はユーザー側の責任となり、ユーザーが秘密鍵をなくしたり第三者に盗まれたりすると暗号資産も失われます。

 ペイパルのやり方は、暗号資産を支払手段ではなく投資対象としてのみ取り扱っていると考えて良いでしょう。購入した暗号資産の管理はすべてペイパル側で行うため、ユーザーが暗号資産をなくすリスクはありません。

 現時点では、実際に暗号資産で支払いが可能な場所は未だほとんど存在しません。したがって、暗号資産を投資対象として割り切ったペイパルのやり方は、ユーザーにとって安全でわかりやすく、暗号資産投資へのハードルを大きく下げています。

 ペイパルのユーザー規模は約3億5000万程度といわれており、同社のアプリで暗号資産に手軽に投資できるようになることで、暗号資産が金融のアセットクラスとしてメインストリーム化することに大きく貢献する可能性が高いと言えるでしょう。


ペイパルの競合であるスクエアはすでにビットコイン事業に注力

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スクエアの送金アプリ“Cash App”
(出典:Paypal 報道発表

 一方で、ペイパルの競合であるスクエアは、2018年から同社の送金アプリ“Cash App”で暗号資産の売買機能を提供しています(現時点ではビットコインのみサポート)。

 同社の発表によると、ビットコイン事業の2020年第1四半期の売上高は3億6000万ドルを記録し、四半期決算では初めて法定通貨関連サービスの売上高を上回りました。

 比較的平易なUIで取引できるため、ユーザー層の拡大に成功したようです。

 スクエアの場合、ユーザーが身分証明書をアップロードしていくつかの質問に答えることで、購入したビットコインを外部のウォレットに送金することが可能です。

 暗号資産の残高を外部に送付可能という点で、ペイパルと異なるのはなぜなのでしょうか。

【次ページ】ペイパルとスクエアの「戦略の違い」とは
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