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日米の金融政策が重大な転換点を迎えつつある。米国は金利上昇が打ち止めになるのか見定めるタイミングに差し掛かっており、一方の日本はいよいよゼロ金利の解除を視野に入れ始めた。日米の金融政策の違いは為替に大きな影響を与えるだけでなく、株価にも大きな影響を及ぼすだろう。
市場は日銀ではなくFRBを見ている
日銀は2023年10月31日の金融政策決定会合において、1%としてきた長期金利の上限を事実上、撤廃し、金利を市場に委ねる決定を行った。これまで日銀は長期金利について0.5%をメドとし、1%を超えないよう無制限の指し値オペを実施するという施策を続けてきた。
生成AIで1分にまとめた動画
市場は長期金利について1%程度が妥当と考えており、金利はジワジワと上昇を続け、金融政策決定会合の直前には0.9%を超えるなど、日銀の金融政策と市場の実態が乖離する状況となっていた。日銀はこうした状況に耐えきれず、1%での指し値オペ取りやめを決定し、1%超えを容認する形となった。
市場と日銀の乖離が解消されたことから、決定会合後の金利は落ち着いているが、今後の金利は日銀ではなく市場が決めることになるため、中長期的には1.5%から2%が視野に入り始めたと見て良いだろう。
同じタイミングで米国の金融政策も転換点を迎えつつある。
日銀とほぼ同日に開催されたFOMC(連邦公開市場委員会)では金利の据え置きが決まった。今回の会合では再度利上げが行われる可能性もあったが、現状維持を優先し、利上げは見送られた。市場ではもう1回、もしくは2回の利上げが行われるとの予想が多く、パウエル議長も今後の利上げに含みを残す発言を起こっているものの、利上げは打ち止めとの見解も増えてきている。少なくとも、立て続けに金利を上げていく環境ではなくなったことは間違いないだろう。
今回の決定を受けて、日本の長期金利が上昇する可能性が高まったことから、円高に戻すとの予想もあったが、為替市場はあまり反応しなかった。11月に入って日銀の植田総裁は、従来の物価見通しに誤りがあったことを認めるとともに、緩和の解除を判断する際、「実質賃金プラスは必ずしも必要でない」などかなり踏み込んだ発言を行っている。それでも為替市場は大きく動かなかった。
むしろ150円を割ったのは、金融政策決定会合後に発表された米国の雇用統計などがきっかけとなっており、市場は日銀の金融政策や日本の金利ではなく、米国の金利あるいは景気動向に着目していることが分かる。
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