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- 2023/09/07 掲載
「ITベンダーやSIerの依存度を下げる」地銀がなぜ中小企業DXを支援するのか
前編はこちら(この記事は後編です)
ITベンダーやSIerへの依存度を下げることが役割
中小企業DXの推進は、地域金融機関にとっても大きな課題になっている。「企業の経営改善」「新規ビジネス支援」「企業マッチング」「人材紹介」など、金融機関に求められる役割も増え、なおかつ多岐にわたる。しかし、中小企業を支援するためには、時間も人手もかかり、ITスキルも必要になる。本業が忙しく、人手を割く余裕がないという金融機関も多くあるだろう。
そうした背景の中で、金融機関とフィンテック企業が提携し、クラウドサービス上のDXツールを活用して、中小企業DXを支援する動きも出てきた。全国85の金融機関と提携し、中小企業DX支援を行っているフィンテック企業がココペリである。
自社で開発した取引先支援プラットフォーム「Big Advance」は、2023年6月の時点で、国内企業6万6821社が利用している。ココペリはどのようにして、85の金融機関と提携し、多くの中小企業DX支援を実現しているのか。ココペリの代表取締役CEO・近藤繁氏はこう説明する。
「我々の課題は、中小企業にいかにテクノロジーを届けるかということでした。我々は以前にもWebサービスを作り、企業に提供してきました。しかし、そのサービスがITリテラシーの高い企業にしか届かないジレンマがあったのです。DXが進んでいない地場企業や中小企業にサービスを届けるためには、地域金融機関との提携が必要だと考えました」(近藤氏)
それと同時に、地域金融機関自身もIT化・DXを進める必要があった。地域金融機関自体のDXが進まなければ、中小企業のDXも進まない。金融庁も、金融の高度化を推進している。「IT化・DXは金融機関にとって不可欠」との見解が2023年4月に金融庁の発表した「金融機関のITガバナンスに関する対話のための論点・プラクティスの整理」でも示されている。
「セキュリティをいかに充実させるか、そしてITベンダーやSIerへの依存をいかに解消するかが地域金融機関の課題です。我々の役割は、クラウドサービスをセキュアな環境を整備し、地域金融機関とともにサービスを一緒に作っていくことだと考えています」(近藤氏) 【次ページ】中小企業DXの課題は「時間と手間」
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